191204 海外からの転職と現地退職について

今回は「海外からの転職と現地退職について」というテーマで話をします。
海外暮らしをエンジョイしている人にとっては日本帰任人事が出た時に現地で退職する人もいます。
私も現地で退職しました。 なかなか経験できる出来事でもないので、今回はその時の話をします。

1.海外からの転職活動とは

以前、海外工場に駐在していた時に日本本社に中途入社した方で珍しい経歴の方がいました。その人は別の会社で海外勤務していたのです。会社の業績が傾いたことで転職して、私が在籍していた会社に入社しました。海外にいながらどうやって転職活動をしたのか尋ねたところ、電話面談で実施したようです。当時は他人事だったので軽く話をした程度でした。

そのあと2年くらいして、私は10年以上勤めた会社を退職して転職しました。その当時私も海外拠点に勤務していて、結局海外から転職活動をしました。まさか自分がその立場になるとは考えていませんでしたが、結果的には問題なくこなすことができました。
海外から日本の会社に転職するといっても、日本国内で転職活動をするのとほとんど一緒です。
簡単にポイントを説明します。

2.海外で転職活動するときのハードルとメリット

海外から日本の会社へ応募する場合は、最終の役員面接で必ず日本本社へ行く必要があります。
海外にいる人にとっては、この一時帰国が悩ましいハードルになります。何か理由をつけて帰国できればそのタイミングで面接を受ければよいのですが、なかなかそういう機会は限られています。相手企業もそういった事情を理解してくれるので、帰国できるタイミングを見て複数社まとめて受けるのが良いと思います。

これが海外から転職活動をするハードルでもあり、メリットでもあります。帰国日程に合わせてまとめて面接を受けることができるので、同じタイミングで複数の選択肢を持つことができます。

手続きとしては、応募先を選定して1次面接を電話で済ますところまでやっておいて、帰国日程を決定するような流れになります。1社だけの場合では、面接をして印象が変わった場合に転職活動のやり直しになります。会社の内部事情は外部からではわかりませんので、面接を利用して社内を見学させてもらうのが良いかと思います。

転職活動を失敗しないためにも、候補先を複数持っておいて、帰国タイミングで複数社受ける方がよいでしょう。また転職エージェントや応募企業に対しても複数社応募している旨を伝えておけば、よりよい条件提示を受ける可能性もあります。「会社人事の期待に沿うような人物であれば」の話になりますが。


1時帰国の日程調整は、かなり面倒な作業になります。
例えば、私の場合は2社の最終面接と当時の勤務先の本社へ行く必要がありました。 以下のすべてを満足するような日程を組む必要がありました。

1.私の海外拠点での仕事の都合(社内イベントや生産状況)
2.応募先A社の役員が本社にいる日程
3.応募先B社の役員が本社にいる日程
4.当時の勤務先の日本本社の部長が日本にいる日程

1と4は社内の話で情報は手元にあるので、簡単に調整可能です。問題は2と3です。 応募先の会社役員がいる都合を聞いて日程を決めるわけですが、こちらは手元に情報がなく、他との調整が簡単ではありません。

こちらの都合を提示して日程を提案する形が良いのですが、2と3の情報がそろっていない以上、提案するにしても多少余裕を見た期間で1次提案をするしかありません。下手なやり取りをして不信感を持たれるわけにもいかないので、この日程調整は難儀でした。何とか1~4をすべて満足する形で1週間ほど日本に出張することができました。

当時の上司が理解ある人で会社の出張扱いということで一時帰国させてくれました。
4.はその兼ね合いで、形式上本社に出社する必要があったためです。

3.どこで退職するか(日本帰任後 or 海外)

私は当時、海外駐在していて日本の本社への帰任辞令が出るときに退職しました。
転職先も決まり、退職するかどうか少し悩んでいました。当時勤めていた会社は悪い会社でもなく、社外から見れば魅力的な会社だったからです。それでも、本社でのデスクワーク中心の仕事内容に魅力を感じなかったし、10年以上勤めていて仕事をやり切った思いがあったので新しことに挑戦すべきだと判断しました。

当時の直属の上司(別の上司)は、いったん日本に帰任してから退職しては?という提案もありました。
帰任後にすぐ辞めるのも従業員の権利であるし、帰国費用(引っ越し費用や航空券)も会社が負担してくれるから、と言うのです。

ところが、 私は帰任してすぐ退職するという考えが好きではありませんでした。
さらに、帰任すれば新しい仕事が始まるので、退職するのであれば現地で退職する方が区切りがいいのです。

そんな考えを持っていたので、私は現地で退職しました。

4.知っておくべき帰国に関わる費用(海外での現地退職の場合)

会社によっては現地退職した場合でも、帰国時の支度費用を負担してくれる会社もあるようですが、私の当時の勤め先はドケチ会社だったため、そういった会社からの補助はありませんでした。海外現地で退職する場合は、帰国の手続きや引っ越しなどもすべて自分でやらなくてはなりません。帰国含めて転職にかかった費用は約60万円程度でした。

・国際引っ越し費用:約25万円
・航空券:15万円
・国内移動費、新居の家具購入、その他準備費用:約20万円

※現地の荷物はほとんどなかったので、国際引っ越しの荷物は段ボール6箱くらいでした。
それでも25万円ほどかかりました。(日本国内の輸送であれば、おそらく1万円もかからない物量ですが・・・)

そんな一時的な支出を気にしていても何もできませんので、当然の費用として受け入れていました。
後で分かったことですが、転職先の会社が一時金として約100万円を冬のボーナス時に支給してくれました。
確かに、内定通知書にはそのような記載があったのですが、私はこれを途中入社者に一律に支給している賞与と認識していたのです。
ところが、実際は海外から転職者に対しての支度金の扱いだったようです。
国内からの他の転職者は、10万円程度の支度金が冬季ボーナス時に支給されていたようです。

仮に、私が帰国した後に転職していた場合は、この支度金はなかったでしょう。
そう考えると、直接海外から転職してよかったと思います。あくまで、結果論ですが。

人生の転機で大きな決断をしないといけない場合は、小さなこと(今回の場合は帰国費用)を気にするべきではないと考えています。仕事でもそうですが、小さなことに注意を奪われると本来見逃してはならない大切な事柄に対して判断が鈍ってしまうからです。

※参考書籍 転職サラリーマン
※参考書籍 東洋経済 海外移住
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