191214 部下のモチベーションに配慮する

今回は「部下のモチベーションに配慮する」というテーマで話をします。
プロジェクトリーダーや海外駐在を経験すると、マネージメントする機会が増えます。
当時は本当にいろいろなことを考えながら仕事をしていました。次のような事柄です。

  • 仕事自体をこなすこと(新規案件が多く、大忙しだったので)
  • 組織として大きな成果を出すこと(組織体制が破綻していたので)
  • 生産性を高めて効率よく働くこと(いたるところにムダが多かったので)
  • 部下のモチベーションを保つこと(退職者が多かったので)


当時の私はそれなりに社会人経験も苦労経験もあったので、無理難関があっても心の余裕はありました。単純に仕事をこなすことも求められる立場だったのですが、それではつまらない仕事のやり方になるだろうと考えていました。

また、当時住んでいた国(メキシコ)の国民性も影響していました。仕事優先ですべてを犠牲にする日本人の考え方とは違い、メキシコでは家族との時間を大切にして仕事はほどほどにという考え方です。そんな考え方の違う人達の尻を叩いて無理やり働かせたところで、本人もいい気分はしません。また、そういうやり方をすると仕事を辞めてしまいます。
忙しいながらも、そんなことを考えながら職場の状況と仕事の内容をみていました。

モチベーションを下げる事例1)ドキュメント作成とモノの手配がメイン業務

私は当時、生産技術部に所属していて新ラインの導入準備や量産ラインの問題対応や改善活動をしていました。
別記事で紹介している通り、生産技術の仕事は現場の課題解決や工程設計・設備仕様の設計です。
当時立て続けに新ラインの導入があり、その準備と量産対応を並行して行っていました。

体制が破綻していたこともあり、エンジニア職でありながら技術的な仕事をしていない人もいました。
彼らが何をやっていたかというと、ドキュメント作成やモノの手配でした。

ドキュメント作成

新ラインの導入は大変な仕事です。20~30工程の生産ラインで設備ごとに点検シートや手順書、外観判断基準など大量のドキュメントを準備しなくてはなりません。こんなものは1名でやる仕事ではなく、事務員数名を導入してやるべき仕事です。ところが、当時はエンジニア職の人物がこういった事務作業を専属してせざるをえない状況でした。

モノの手配

モノの手配は、例えば、量産ラインで使用する備品関係です。台車、作業机、トレー、計測機器、備品保管用のキャビネットなどです。新ラインの場合はすべて私が処理していました。量産ラインの場合は、故障品の発注や改善アイテムの手配などです。


当時の現地人エンジニアは、これらの仕事をメインで対応していました。この2つは技術者の仕事範疇と言えば、その通りです。ところが、これはあくまで付随的に発生する仕事であって、これがメインの仕事ではありません。これがメインの仕事であれば、「生産技術部」ではなく、「帳票部」や「購買部」になってしまいます。

そういう事務的な仕事(エンジニア要素がなく難しくない仕事)を好んでいたエンジニア職もいたのは事実ですが、ほとんどのエンジニアはそうは思いません。エンジニアとして採用されて、ただの事務作業しかさせてもらえないのであれば仕事を辞めるでしょう。そういう心配もあって、当時の技術部責任者には何度も体制の見直しと事務員の追加を要請していました。

モチベーションを下げる事例2)稟議作成と報告資料作成がメイン業務

続いて日本本社の事例を紹介します。
日本本社には製造現場がなく、本社機能しかありませんでした。私も元々本社所属だったので内部事情はよくわかっていました。本社の生産技術部は巨大な組織でしたが、本社でする仕事はほとんどないのです。

生産技術エンジニアの職場は製造現場です。彼らが仕事をするには工場へ出張しなくてはなりません。それ以外の仕事は、新機種の工程設計や設備仕様準備です。こういった新規案件を担当している分にはまだよいのですが、量産工場の改善をメインとしているエンジニアは日本にいても基本的にはすることがありません。

彼らが何をするかというと、稟議書作成や報告資料などのデスクワークか無駄な打ち合わせです。私も何年か本社に所属していたことがありますが、「こんな仕事を続けていても自分のためにはならないだろう」という仕事でした。

毎年のように新入社員を採用していたおかげで組織は拡大していました。ところが、新入社員にとっては何かを学ぶ職場環境ではないのです。書類作成ばかりしていても生産技術エンジニアとしての実力は伸びませんし、本人のモチベーションも下がります。

そんな危惧があったので、以前本社の部門長と話す機会があった時に、若手社員を数ヶ月間海外工場で現場実習させることを提案しました。会社として目先の仕事をこなせばよいという考えではなく、従業員に気分よく仕事をしてもらうためにどうすればよいのか、部下の教育という視点でなにをするべきか、そういうことを考えながら当時は仕事をしていました。



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