191222 生産技術エンジニアが巻き込まれた事業部間の醜い争い

今回は「事業部間の醜い争い」というテーマで話をします。
あまり役に立つ話ではないかもしれませんが、以前私が経験した社内上層部のやり取りを紹介したいと思います。生産技術職をやっていると同じような場面に遭遇することもあるかもしれません。

事業部間での量産ラインの移設(生産技術エンジニア主導)

当時私は生産技術者でした。新しい拠点で事業を立ち上げるということで、その生産ラインの担当していました。自動車業界のビジネスは立ち上がりまでの期間が長く、その時も生産開始の2年も前に生産ラインを準備していました。

後で顧客から直接話を聞いたところ、「本来予定していたプログラムに合わせるのであれば、それほど早く生産ラインを準備する必要はない」ということがわかりました。ところが、当時の社内の上層部の変な勘違いと意図があって、顧客が期待しているプログラム以外の機種もそのラインで流そうと計画していたようです。もちろんうまくいくはずもなく、顧客が望んでいないプログラムが日の目を見ることはありませんでした。

社内体制の変更(事業部制の導入)

その2年間に社内の体制が変わり、事業部制ができました。
事業部ができたことで、生産拠点は所属する事業部に統一するという方針に変わりました。先述の新規生産ラインも生産開始前でしたが、別の拠点に移すことになりました。

この設備移管について醜態が始まることになるのでした。

話の始まりは、設備を設置した拠点(事業部Bの拠点)が新事業は(もともと彼らがやっていた事業に比べ)手間がかかるのでやりたくないという話でこの移転が始まりました。

収益のみを優先する上層部の醜いやり取り

移転先の拠点(事業部Aの拠点)に移す時の醜いやり取りが次のようなものです。
※生産ラインについては、経験のある事業部A側で仕様を決めて準備したものです。


事業部B:投資した費用は全て載せて設備を売却する
例)受入検査室の改修費用
例)事業部Bで勝手に投資した3次元計測器の費用
例)事業部Bで勝手に投資して失敗したデータベース開発費用
例)該当事業にこれまでかかった工数や出張費用など

事業部A:本来、我々が準備した設備費用のみで購入する

事業部B:価格同意がなければ設備は渡さない

事業部A:顧客のプロジェクト計画があるので、その日程に合うように生産ラインを準備しなくてはならない

事業部B:価格同意がなければ設備は渡さない

上層部が争うことによる実務レベルへの影響

当時私は事業部Bの拠点で設備梱包をして移設の準備をしていました。
以前一緒に仕事をしていた事業部Bのメンバーは何一つ手伝ってくれませんでした。

また、当時の拠点が保税区にあったこともあり、海外輸出と同じ要領で輸入した状態に近い形で輸出インボイスを準備する必要がありました。10トントレーラ4台分ほどの物量の荷物の梱包を少人数でやっていました。

設備の梱包に使用する緩衝材や木材も事業部Bの拠点から発注されることはなく、はるか遠方の事業部Aの拠点から近郊の取引先に発注していました。それはそれで、拠点Aの発注処理も遅いので、緩衝材くらいは私が直接その取引先から購入していました。数万円程度はかかったと思いますが、私は不毛な時間の浪費が嫌だったのです。(費用は出張後に精算しました。)

いったい自分は何をやっているんだ…

何度もそう感じていました。わけのわからない上層部の方針変更で、本来仲間であるはずの社内が敵対しているのです。その犠牲者が自分でした。

輸入時のインボイスに合わせるために、細かい部品の梱包には注意が必要でした。事業部Bの通関担当者に何度も一覧を準備するように催促していました。ところがその人物が使えない中年社員でいつまで待っても何も出てきませんでした。私の出張期間も限られていたので、梱包を始めることにしました。内容物が後で分かるように、箱に記載しておいたのです。

その後梱包がほぼ完了してトラックの到着を待つだけでした。
すると、その使えない中年社員が「梱包明細が違う」などと言ってきて、詰め替えを要求してくるのです。

「だったら自分でやれよ」と言いましたが、事業部Bの人間は誰も何もやりません。

結局私を含め、事業部Aのメンバーが再度詰め替えをすることになりました。
時間と工数の無駄もいいところです。

その作業も終わり、後はトラックに入れて送り出すだけでした。
ところが、トラックの手配にしても事業部Bの対応は悪く、何日待っても進展がありません。ついに、出張予定期間も終わりが近づき、そこにいてもやることがないので私は事業部Aの拠点(受入側の拠点)に戻りました。

トラックを手配するだけで、なぜ何日もかかるのか不明でしたが、その後も随分時間がかかりました。電話で事業Bに問い合わせてもメールを上層部に入れて配信しても何の連絡もなく、イライラが募るだけです。

1000㎞程離れた同一国内の輸送でしたが、3週間以上はかかったでしょうか。
予定をはるかに遅れて、ようやく設備が事業部Aの拠点に到着しました。

もともとの設備自体の購入価格は3億円ほどでしたが、事業Bからの売却金額は4億円を超えていました。


当時の感想

いまとなっては笑い話として話せますが、同じグループ会社でこうも仲が悪いものかと感じる出来事でした。
本来は協力すべきところですが、完全に敵でした。私は何度も問題をエスカレーションしていたにもかかわらず、状況が改善されなかったということは上層部から末端に対してそういう指示が出ていたということです。自分たちのことだけを考え非協力的な態度で、完全にいやがらせといえる行動でした。
まるで、どこかの政治家のようなやりとりです。
相手のことなど気にせず、騙し合い自分の利益しか考えない行動です。
残念ながらこれが一般企業の現実です。



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