191205 得ることと捨てることはトレードオフ
何かを得るには何かを捨てなければならない。
よくこんなことを考えます。理屈ではわかっていてもできない人が大勢いると思いますが、何気なくやっている習慣でも見直すことで、新しい発見があります。無駄だな、よくないなと思うことは思い切って捨てましょう。
物事によっては、金銭的なメリットや体の健康、仕事の生産性を高めてくれることあります。
何気なくやっている習慣がポジティブなものを生み出してくれるのであれば、それでも良いのですが、そういった何気ない行動のほとんどはそうでない場合が多い気がします。いくつか事例を紹介します。
捨てた事例1)車の所有をやめたとき
得たもの)
- 不要な維持費の削減(駐車場代、保険料金、自動車税、ガソリン代)
- 運転するストレスから解放された(周りのドライバーから受けるストレスです)
- 歩く習慣と健康的な生活
失ったもの)
- 快適な移動手段
かれこれ自動車を所有しない生活を7年以上続けています。
仕事が忙しくなるにつれ自動車を利用する時間は減りました。ただの移動手段としてしか利用していませんでした。以前車を所有していたときは、朝夜の通勤時間(各10分)の合計20分程度です。1日24時間という時間のなかで、たった20分しか使用していないのです。
利用率は約1.4%です。もったいないですね。
個人的な印象ですが、田舎道でさえも通勤時間帯の車の運転はストレスになります。考え方は東京の満員電車と同じです。大勢の人間が同じ時間帯に移動することで、発生する渋滞です。そんなことで心を乱されるのは、嫌だったので車を捨てて徒歩と公共交通機関での生活を選びました。
7年前の話になりますが、当時勤めていた会社の近くで、徒歩圏で買い物が行けて、バス停の近い場所を探して徒歩生活を開始しました。それ以来自転車にすら乗らない生活を続けています。すべて徒歩か公共交通機関を利用しています。田舎暮らしでしたが、車がない生活に慣れました。しばらくそういう生活をつづけたおかげで、それ以来車を所有しない生活に慣れました。
捨てた事例2)10年以上勤めた会社を辞めて転職したとき
得たもの)
- 新しい環境、新しい挑戦、新しい人付き合い、新しい世界観
- 他社の内部事情
- 待遇アップ、労働環境改善
- プライベートの時間
失ったもの)
- 前職で積み上げたキャリアパス
- 前職の人脈(社内、社外)
- やりがい(比較すると前職の方が仕事のやりがいがあった)
転職の場合はわかりやすいと思います。挑戦するためには現在の職場を捨てないといけません。
社内で積み上げてきたキャリアや人脈を捨てるということは勇気がいることですが、捨てることで見えてくる世界があることも事実です。自分が深刻に思っていた考えが、実はたいしたことはなかったと気づきます。
人生経験を積むという点で、1度くらいは経験するのもありだと考えています。
捨てた事例3)携帯電話が故障したとき
得たもの)
- 有意義な時間の過ごし方
- ストレスからの解放
失ったもの)
- 特になし
以前勤めていた会社の話ですが、仕事の電話がよく鳴りました。勤務時間外でも迷惑な電話が頻繁にかかってきました。夜中であろうが、休日だろうが迷惑な着信はありました。
仕事の電話である以上、無視するわけにもいかず対応するのですが、他人に配慮のかけた行為でした。そういう思いから、私は夜中や休日には他人に仕事の電話をかけることはありませんでした。相手のプライバシーを尊重して勤務時間外はメールを送る程度でした。
ある時、会社で使用している電話が故障しました。おかげで数日間、携帯電話から解放されたのです。
この時の解放感ほど素晴らしいものはありませんでした。
今の時代は、携帯電話を持たない人などいないと思いますが、依存症になっている人は少し距離を置いて生活してみると新たな発見ができると思います。少なくとも健康的で、時間を有意義に過ごすことができるはずです。意外と携帯電話がなくても生活に困らないと気付くはずです。
捨てた事例4)飲酒をやめたとき
得たもの)
- 有意義な時間の過ごし方(寝る前の時間を趣味に使うなど)
- 体の健康
失ったもの)
- 特になし(あえて挙げれば、飲酒による一時的な満足感)
20代前半の頃はよくお酒を飲んでいました。
酔っていい気分になることが快適に感じていました。
ところが、体がアルコールに慣れてしまい少量では酔わなくなってきます。
習慣や付き合いで飲んでいるだけで、酒を楽しむというよりは、ただ飲んでいるというだけでした。
それから30代になって運動していて、徐々に体力の衰えを感じるようになりました。
そこで実験的に飲酒をやめました。効果があるかどうかわからなかったのですが、結果的には運動時にだるさや体の重さがなくなりました。それ以来、飲酒を徐々に減らし、今ではほとんどお酒を飲まない生活に戻りました。
捨てた事例5)仕事上での無駄な会議を避けたとき
得たもの)
- 貴重な時間
- その時間を利用して生まれたアウトプット
失ったもの
- 特になし(※必要であれば参加者や主催者に後で情報を聞きに行けばよいのです。)
仕事の時間の中でどれだけ無駄を排除して、本来の仕事に集中できるかが成果を生むポイントです。
本当に必要な会議にだけ参加して、不要な会議をスキップしてしまえば生産性は高まるはずです。
周りの人間が生産性のない会議ばかりを開催していないか判断してみてください。
通信手段が発達した現代では、メールや電話で処理できる仕事が増えています。
わざわざ古いやり方で大勢を1つの場所に集めなくてもできることはたくさんあります。
捨てることで身軽になるという考え
5つほど事例を上げましたが、よほどの不便な場所に住んでいる場合を除いて、すべてなくても生活できるものだと考えています。何気なくやっていることで、便利なサービスを享受しているという錯覚を持ってしまいますが、引き換えに失っているものもたくさんあるということです。主に、お金や、健康、時間です。
当たり前に思えている事柄に、メスを入れてみると思いもよらないものが得られることもあります。
世の中のほとんどのことはトレードオフの関係です。
何かを得るためには、何かを捨てなくてはなりません。今まで当然と思って所有していたものや習慣でも、捨てようと思えば簡単です。捨てることで新しい世界観が見えるようになります。捨てるという覚悟があれば、状況は変えられるはずです。
ほとんどの人が「増やすこと」ばかりに考えが集中していて、「捨てる」ことの大切さを気付いていないように思えます。
「捨てる」という考えはリスクにも思われがちですが、自分にとって何が大切で何がそれを阻害しているのかを正しく理解すれば、リスクを大きく減らすことが可能です。
この考えは会社にも当てはまると考えています。
事業を拡大していき組織を大きくすることも立派なことですが、戦略のない拡大は経営を悪化させる可能性もあります。選択と集中という考えがあるとおり、不要だと思えることは思い切ってそぎ落として、的を絞ってリソースを投入する方が効果的に思えます。