210308 働きやすい職場環境とはどんな職場?
今回は「働きやすい職場環境とはどんな職場?」というテーマで話をします。誰にとっても共通の課題だと思います。自分の経験から少し掘り下げて考えています。
社内政治の話
会社の中にはいろんな人の思惑が複雑に絡まっています。大企業に勤めていたころ、なかなか物事が進展しないことがあって、「仕事がやりにくいなぁ」と思うことが頻繁にありました。会社規模が小さくなればこの傾向はなくなるのかなと思っていましたが、規模の大小にかかわらずこの問題はあるようです。
スタートアップでは、社内抗争のせいで本来の活動にリソースが投入できず、社内構想が原因で内部崩壊する事例もあります。会社の中には、それぞれの価値観を持った社員が共存しています。
・年収を上げたいと思っている人
・新しいことに挑戦したいと思っている人
・安定した生活を送りたい人
・既存事業で小さな改善を積み上げたい人
・プライベートを楽しみたい人
・ルーティンワークをこなしたい人
・昇進したい人/そうでない人
こういったそれぞれの思惑があると、なかなか従業員のベクトルは一致しにくいものです。相手の考えを尊重して思いやりを持ってればいいのですが、すべての人物がそれほど立派ではありません。中には大きな野心をもって相手を潰そうと裏口工作する人もいます。他人を貶めるような行為を行い、 自分を正当化することです。個人的にはこういう不毛なやり取りはやりたくないのですが、残念ながら最適論では進みません。人によっては、そんな空気が嫌で転職する人もいます。
人付き合いの問題はどんな会社にも存在します。残念ながら完全に避ける方法はありません。入社前に職場の雰囲気を慎重に見極めることも大切ですし、最近では社内の人物による有益な情報もインターネットやSNSで得られるようになりました。それでも避けられないこともあるので、最終的には会社に依存しないで別の会社にいつでも移れる心構えが必要と思います。
社内に敵がいるという残念な事実
大きな組織に勤めていると、 社内に「敵」がいると感じることがあります。
会社としての目的は同じですが、それぞれの部署の思惑や担当者の立場が影響して自分たちに都合のいい判断をするため、「部分的な最適」になっていても、「全体としては最適」になっていないことがあります。簡単に言えば社内政治です。
私の過去の事例を挙げると、私は生産技術エンジニアで製造ラインよりの仕事をしていました。
製品設計を変更したり、 取引先からの部品の品質を改善を他部署に要求するのですが、なかなか真剣に取り合ってもらえないことがありました。それぞれの言い分は次のようなものです。
設計部門は、設計変更により発生するリスク検討や検証、あるいはただ社内手続きが面倒だからという理由です。
購買部門は、取引先へのコストアップ、交渉力の低下、ただ面倒だからという理由でした。
社内の不良率と部品の原価を比較して、部品原価の方がメリットがあるのであれば、多少の社内不良に目をつぶって見過ごすことは可能です。
ところが、最終工程(最終製品形状)に近づくにつれ、部品原価よりも不良コストの方が大きくなります。従ってこういった会社全体としてのメリットを考えた時に「どういう活動をすべきなのか」を考えないといけません。
話を戻して社内に敵がいるという事例をいくつか挙げると、「両利きの経営」や「イノベーションのジレンマ」という本で紹介されている通り、大きな組織の中で新しい事業を創出しようとすると、二つの異なる価値観が共存することになります。
一つは既存事業の価値観で小さな改善を積み上げて性能と原価を改善しようとする考え方です。もう一つはリスクを取ってでも新しいことに挑戦しようとする起業家的な考え方です。この二つは共存しにくい特徴があります。
一方(既存事業)が他方の邪魔をするということです。既存事業が予算(リソース)配分や既存事業との相性を理由に新規事業を潰してしまいます。こういった場合に、有効なのは社長直属(あるいは事業本部長直属)の指揮系統にすることです。 こうすることで、周囲の対抗勢力に対して、有効に働きます。 もう一つは物理的に勤務地を分けることです。
社内の敵対勢力の規模や環境次第でやりたいことを実現できないことも・・・
話を戻して何が言いたいかと言うと、職場環境によって仕事のしやすさは大きく変わってくるということです。やりたい仕事があっても、組織風土によって 実現しにくい場合もあります。残念な事実ですが、この社内体質が原因で衰退している大企業もたくさんあります。
「自分が今どういう環境にいるか」ということを客観的に分析すべきだということです。やりたいことがあっても、本人が優秀でも同じチームのメンバーが優秀であっても、社内の敵対組織により潰されてしまう可能性があるということです。逆に、「仕事がやりにくい」と感じていても、会社の業績が伸びているなら「実は他より優れたやり方だった」ということもあります。
※関連書籍)両利きの経営
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