200425 設備仕様書の書き方のポイント(設備の設計者になる)

今回は「設備仕様書の書き方のポイント」というテーマで話をします。 生産技術をしていると設備の仕様書を準備して量産設備を発注することが頻繁にあります。今回は設備仕様書の概略と作成のポイントを紹介します。

【目次】

  1. 設備仕様書とは
  2. 設備仕様書の書き方のポイント
    • 設備仕様作成時のありがちな失敗パターン
    • 設備仕様書の検証方法
    • 参考とすべき仕様書作成のガイド

設備仕様書とは

生産技術者になると工場に量産ラインの導入をすることがあります。1ラインの規模での設備投資になることもあれば、単体設備1台を導入するレベルのものもあります。会社によっては社内に設備製作部門がいて、その部門が必要な設備を準備する場合もありますが、ほとんどの場合は外部の取引先に設備を発注して設備を準備します。
いずれの場合においても設備仕様書を最初に準備します。この設備仕様書とは、どういった設備を作ってもらいたいかを示す文書になります。例えば、次のような項目です。

  • 設備のサイズは〇〇以下にする。(レイアウトの兼ね合い)
  • 設備は〇〇と××を判定項目として、それぞれの規格は△△とする。
  • 要求サイクルタイムは〇〇以下にする。
  • 治具構造は××××のようにする。
  • 位置決め部分は××××の部分を利用する。
  • ******
  • ******

たくさんの設備仕様書と設備を見てきましたが、立派な設備仕様書を見かけた機会は極めて少数でした。設備仕様書の完成度が低いと、追加で何度も打ち合わせが必要になったり、設備を発注した後に何度も問い合わせを受けたりすることになります。このやり方では、設備の完成度が下がる方向に作用します。仮に設備の出来が良かったとしても、それは設備製作者の実力が優れていただけであって、別の製作会社に発注すると再現性はありません。生産技術者として、これは避けるべき状況です。

設備仕様書の書き方のポイント

それでは、どんな設備仕様書を準備すべきでしょうか。
考え方はシンプルです。自分が設備を設計・製作するつもりで書くことです。
メカ・電気・ソフトの面において、どういった構造で設計するかを考えると、必要なポイントは自然に頭に浮かんできます。メカ設計の場合は、全体の剛性や構造、位置決め部分、使用する機器、ストロークや出力、設備の全体サイズなどが決まれば大枠は決まります。電気・ソフト設計についても、データの取り込み項目や精度、安全仕様、インターフェース、入出力が決まれば大枠は決まります。

設備を自作した人物や設備導入で苦労した経験がある人物であれば、上述した内容について設計者目線で想像できます。そういった設備を作ったことがない人物や設備導入で苦労したことがない人物では、完成度の高い設備仕様書をかけないということです。

設備仕様作成時のありがちな失敗パターン

あまり推奨はしませんが、よくあるパターンが類似設備の設備仕様書をまねて作成するやり方です。ゼロから作成するよりははるかに効率的ではありますが、これでは過去の設備仕様書の品質次第になってしまいます。過去の設備仕様書が手抜きの仕様書であれば、その仕様書をもとに設備を発注しても、よい設備はできない可能性が高いということです。
過去の設備の完成度とその設備仕様書の完成度は必ずしも一致しません。

設備仕様書の検証方法

では、設備仕様書の内容が十分かどうかの判断基準を客観的に判断するにはどうすればよいのでしょうか。これも簡単です。その設備仕様書をもとに、自分で設備設計できるかどうかを見極めればよいのです。形式だけの設備仕様書では、中身が充実していないため設備設計などできないはずです。

参考とすべき仕様書作成のガイド

設備仕様書を作成するときは、類似設備の仕様を参考にします。(ステップ1)
内容が優れている場合は、その設備仕様書を踏襲すればよいでしょう。内容に不足が多い場合は、設備仕様書ではなく、設備の図面を参照してください。(ステップ2)
機械図面や電気配線図を見れば、採用されている設備構造や制御方法が理解できます。経験が浅いエンジニアであれば、その構造をもとに設備仕様書に詳細をまとめていけばよいと思います。 経験者になれば、少し自分の判断をアレンジしていきます。


以上、簡単ですが設備仕様書の書き方のポイントを紹介しました。

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