前書き

昨今の社会のグローバル化により英語という言葉はますます身近になってきています。日本の製造業界は為替、関税、エネルギー問題、人件費問題、法人税などの理由から海外進出しており、スポーツ選手も海外挑戦をする選手が増えています。一方、日本国内を見ても、外国人観光客が増え、アジアからの留学生が卒業後そのまま日本に就職する人も増えています。日本のこれからの高齢化問題を考えても就労人口を海外からの労働力に頼らざるをえないほど状況は深刻です。

こういった状況を踏まえ、近年では小学校から学習科目に取り入れられています。文部省だけでなく国内企業も昇進要件に外国語の習得を設けており、社員への外国語学習を推奨しています。かつては英語を使う機会などは一部の人に限られていましたが、既にそれは昔の話で、今ではコンビニで働く人でさえ英語を使う機会を実感しているはずです。

私自身も学生時代に勉強はしていたつもりでしたが、実際に会話をする場面に遭遇すると、これまでの学習は全く役に立たず歯がゆい思いをしました。そんな経験から学生時代に再度英語の勉強をやり直しました。今では通常会話では問題ないレベルになっています。

英語を勉強する理由

 前書きでも少し記載した通り、マクロな視点で見ると日本はこれから高齢化社会に入っていきます。労働人口も徐々に不足していき、女性や高齢者、あるいは海外からの労働力に頼らなくてはならない時代が来ます。また企業の活動もこれまで以上にグローバル化していきます。そうなってくると日本語を母国語としない人とのかかわりが増えてきます。

相手が日本語を話してくれればよいですが、世界の公用語でもなく、小さな島国でしか使われていない日本語を相手がしゃべってくれると期待するのは、少し都合が良すぎます。また英語を母国語としない人にとって英語と日本語では、英語のほうが楽に感じます。例えば、我々日本人が英語を話す場合と、見たこともないアラビア語を話すのでは明らかに英語のほうが楽に感じるはずです。同じことを海外の人も日本語に対して感じています。つまり、英語はコミュニケーションツールとして避けられません。

最初はぎこちない会話でも、練習するうちに徐々にしゃべれるようになります。言葉とはそういうものです。語学の習得には数年の単位で学習が必要になりますが、一度克服してしまえば、自分にとって強い味方になります。私自身20歳前後で英語の習得をしましたが25歳になっても30歳になっても、その恩恵を享受しています。経験した人にはわかるかもしれませんが、先に勉強しておくと後々人生が少し楽になったように感じます。

またこの語学学習はあらゆる場面で自分を助けてくれます。仕事上で英語を使用しなくてはならない場合、海外旅行に行った場合、インターネットで調べ物をする場合など英語情報のほうが日本語情報に比べて情報量が豊富です。

英語の学習の基本(言葉の基本)

言葉は、”書く”、”読む”、”聞く”、”話す”の4つの要素だけです。これは当然のことで、国は違っても、万人から納得してもらえるはずです。日本語でも英語でも、それ以外の言語でもこれは同じです。次にこの4つの要素の中で自分は何ができていて、何が不足しているのかをよく考えます。現状を正しく理解するのは簡単ですが、人によってはこの理解を間違う人がいるので、まずは目的地に対して自分がどの位置にいるのかを正しく把握しましょう。


英語を"読む"

最初に“読む”という要素から考えていきます。本屋に行って洋書を手に取ってみてください。あるいは英語の新聞を購読してみてください。身近に英語の出版物がなければ、アマゾンでも購入できます。インターネットの英語サイトで記事をダウンロードしてもらってもかまいません。それらを読破して理解度を試してみてください。問題なくこなせる人は相当のレベルにいるということになります。文構造が分からないのであれば、文法を復習する必要があります。単語が分からないのであれば、わからない単語を調べる必要があります。

この作業をすると最終目的地に対して自分の位置が見えてくるはずです。本や新聞を読むことは読む力を養ううえで役に立ちますので分かるようになるまで何冊も読むことをお勧めします。とはいってもレベルにあっていない読み物をするのは大変疲れます。そんな場合は読み物のレベルを落とす。例えば英語の漫画から始める。あるいは興味のある書物の英語版を読むなど、自分のレベルの少し上くらいのものから始めるのが良いでしょう。


英語を”聞く”

次に”聞く”要素を考えてみます。これも”読む”要素とやることは同じです。試しに外国映画を字幕なしで見てください。あるいは英語ニュースを聞いてみてください。おそらくほとんど理解できないはずです。これが最終目的地です。

学習初期の時点ではわからなくても気にする必要はありません。そもそも言語の学習とはそういうものです。では、なぜうまく聞き取れないのでしょうか。ほとんどの場合が慣れていないからです。”読む”作業と違って”聞く”という経験は普段なかなか経験することがないと思います。身近にいる外国人や英語の先生と話すような場合はあっても、日常生活のやり取りする速度での聞く習慣がないので分からなくて普通です。

私の友人が海外に行ったときの話ですが、相手が言ったHow are you?が理解できていませんでした。基礎英語を学習しているはずの日本人が、こんなこともわからないのかと嘆きたくなるような場面でしたが、こういう事例はよく見かけます。私の友人も基礎英語くらいは理解しています。

では、なぜこんな初歩レベルの内容が理解できないのでしょうか。それは音情報と視覚情報が一致していないからです。我々日本人はこれまで英語という言葉を視覚情報として頭に記憶しています。目から入ってくる英語情報は割と処理できるものの、耳から入ってくる英語情報は、我々が英語と認識している英語とは異なるのです。 なぜこのようなことが起きるかというと、学校の先生も英語を話せるわけではありません。彼らの口から発される英語情報は、本来の英語情報とは少し違った音を持っています。そんな正しくない音情報に耳が慣れてしまっているので、本当の音情報に接したときにそれが正しい情報として認識できないのです。

正しい音情報として認識するためには練習するしかありません。同じ文章を何度も聞いて英語のリズムや単語の発音を繰り返し練習します。最初は短めの文章を繰り返し聞くのが良いでしょう。海外ニュースやインタビューを吹き込んだ英語教材も利用できます。最初は会話文を書き出したものを利用して音情報を視覚情報とあわせて学習するのが良いでしょう。何度も聞いていれば誰でもできるようになります。

少なくとも”読む”要素は我々日本人の得意とするところで、音情報を視覚情報として認識することはそれほど難しくないはずです。他の言葉、例えば日本語や中国語、アラビア語、これらの言語を外国人が学習することを考えてみてください。アルファベットのように規則があるわけでもなく、わけのわからない線の組み合わせで表現されていてその数は無数にあるので、少し会話ができても字が読むということはかなりハードルが高い作業になります。他の言語と比較すると、英語は易しい言語です。


英語を”書く”

続いて”書く”要素です。これは”読む”、”聞く”という要素に比べれば難易度は低いですね。また、”読む”、”聞く”ができている人はこの“書く”という作業はまず問題なくできます。また、この後に説明する”話す”という作業ができれば”書く”という作業は自然にできます。
当たり前の話ですが、話すということは頭の中に文章をまとめているわけですから、それを紙に書き写す作業は問題になるはずがありません。


英語を”話す”

最後に”話す”要素です。これが最も苦手とされている要素であり、最も日常生活で必要な要素です。これも目的地を見つけてみましょう。身の回りに英語を話す環境がない人は、何でも構いません。外国人観光客の案内やボランティア、英会話学校の体験入学など英語を話す機会を見つけてください。または長期休暇で思い切って海外旅行にでも出かけてみてください。最初のうちは何も口から出てこないと思います。これも最初は誰でもそうですので、気にする必要はありません。

ではどのように克服するか考えていきましょう。他の要素と違って、この”話す”という要素は一番難易度が高いということをよく覚えておいてください。いくつか理由がありますが、その1つにこの作業には必ず相手が必要ということです。他の要素が自分で独学できるのに対して、この要素は一人で学習するということはできません。身の回りにそういう学習環境があればよいのですが、日本のように単一民族国家ではなかなかそうもいきません。

2つ目の理由として、ある程度の基礎知識がないと言葉というものは出てきません。わかりやすく説明すると水道用の貯水タンクに水が溜まっていないと蛇口をひねっても水が出てこないのと同じです。つまり、話す練習をする前に英語に関して最低限必要な知識を情報として頭の中に入れておかなくてはなりません。3つ目の理由に、”話す”場面を想定した時に、話す作業と同じくらいの聞くという作業が発生します。一方的に話すだけでは会話というものは成り立ちませんから、”聞く”能力がついていないと”話す”という能力は効果を発揮しません。

従って、”話す”要素を実践する前に”読む”力を養って知識を蓄積します。同時に”聞く”力を養って相手のことを理解できる準備を進めておきます。この準備をしっかりやっておけば話す出番が来た時に、時間の経過とともに実力が向上していくはずです。

海外旅行に出かける

 ここまで英語学習方法を紹介してきましたが、慣れない人にとって勉強というのは苦痛でしかないと思います。慣れている人は将来の自分を想像して、日々の時間を有益に勉学に費やすことができると思います。勉強が苦手な人にとっては自分のモチベーションを高めるためにも海外旅行に出かけてください。学生であれば長期休暇を利用するのも良いでしょう。社会人であれば1週間の休暇にでも海外旅行に挑戦してみてください。

行き先はアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアなどの英語圏の国です。誰かと行くのではなく1人で行ってください。というのも、親しい人と行くのは気分も楽で現地でも心強い存在になります。ところが親しい人が周りにいるせいでお互いが頼ってしまい、せっかくの海外でも閉鎖された人間関係しか築けない懸念があります。一方、一人で海外に出かければ現地の人、あるいは同じような旅行者と話す機会というのは間違いなく増えます。自分が何かをしないと誰も助けてくれないわけですから、心構えも変わります。心配する必要はありません。1人で来ている若い大学生も大勢います。女性でも1人で来ている人もいます。たいていの観光地であれば日本人も大勢います。先進国であれば命を落とすようなこともまずありません。

もし不安になるのであれば、海外から日本にやってきている外国人の方を見てください。それが、あなたが海外に出たときのあなただと思えばよいのです。海外に行けば日本との違いも感じられるはずです。良くも悪くも日本という国を客観的に見ることができます。私の経験から話をさせてもらうと、日本という国は小さい島国に単一民族が大勢住んでいて人口密度は他国に比べて高く、建物も高いものばかりで密集しており、近代の科学技術も発展していてビジュアル的な景色で他国と大きく違っています。また人に対しても親切で平和という印象があります。若者の引きこもりやパワハラ、過労死など日本特有のネガティブな面もありますが、日本に生まれて日本人でよかったと思うことは何度もあります。

飛行機代は高いと思うかもしれませんが、私は飛行機代以上の経験が得られると考えています。余談ですが、私は社会人になって数年経った時に連休を利用して日本から中南米諸国まで行ってきました。20代で若かったということもありますが、なかなか中南米という国は距離的な制約もあり、治安もあまりよくないことから無理をしないといけない国です。だから若い20代の時に無理をして行ってきました。連休があるたびに行き先を決めて複数回にわたりましたが、日本から羽を伸ばして一番遠いところではアルゼンチンまで行ってきました。現地の暮らしを目で見て肌で感じて、人と話をして現地の生活を感じます。その経験ができたことで私は満足でした。

英会話学校について

私は個人的には英会話学校というものを勧めません。私自身英会話学校に通ったことがないので、的外れの議論をしていると感じるようであればこの章は飛ばしてください。あくまで私個人の意見ですが、日本人は授業で積極的に発言しない傾向にあります。わざわざ高いお金を払って英会話学校に行くのに発言しないのであれば、家で動画放送を聞いているのと同じです。これを避けるためには個人レッスンの英会話学校になります。グループではなく先生とあなたの2人だけであれば、話すハードルは下がります。ただし、これをすると授業料が高くなります。以上の理由から英会話学校はお勧めしません。
積極的に発言できる人であれば英会話学校に通うのも良いと思います。友達もできます。そうでない場合は、英会話学校をお勧めしません。最近ではSNSなどを利用すれば近くに住んでいる外国人にコンタクトを取ることもできます。1時間数千円の授業料で募集すれば、英会話学校よりは安い費用でマンツーマンのレッスンを受けることができます。

まとめ

以上どうでしたか?
なんとなく英語をマスターするための道筋ができたと思えませんか?
もしそう思っていただけた方がいたのであれば、今日から即実践していただければと思います。


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