200314 生産技術エンジニアに対する英語スキルの必要性について

今回は「生産技術エンジニアに対する英語スキルの必要性について」というテーマで話をします。
就職や転職で英語スキルを必要要件にしている会社は増えています。また、社内の昇格要件に外国語スキルを採用している会社も増えています。そこで今回は、生産技術エンジニアに英語スキルが必要かどうか考えてみます。

まず、結論から先に話をすると、生産技術エンジニアに英語スキルは必要です。
ただし、流暢な英会話ができるレベルまでは必要ないと考えています。以下、簡単にその理由を説明します。

【目次】

  1. 生産技術者にとっての優先事項は技術力
  2. 生産技術職における英語の必要性
    • 製造業の海外進出(生産技術者は海外出張必須)
    • 上司や部下が外国人になる可能性もある
    • 技術資料が英語しか対応していない場合がある
  3. 生産技術者に必要な英語レベルとは

1.生産技術者にとっての優先事項は技術力

まず、誤解のないように順を追って話をします。
英語スキルの議論をする前に、生産技術者として優先するべきは技術力です。現場の課題を解決できる技術力を持っていて、設備仕様、工程設計、生産性改善などの生産技術職の基本業務がこなせる前提で、初めて語学の議論になります。
生産技術エンジニアとして未熟な人が、英語スキルを強調するのは的外れな議論です。

英語力を重視して採用する部門責任者の方々を見てきましたが、重要なポイントを見落としているように思えます。生産技術という職業においては、前提となる技術力がなければ仕事を遂行することができないからです。

2.生産技術職における英語の必要性

続いて英語の必要性をいくつか紹介します。

製造業の海外進出(生産技術者は海外出張必須)

過去20年前からの経緯と長期的な見通しを考えても、日本の製造業界は日本だけでの仕事環境はありえません。仮に今勤めている会社では、日本だけで仕事ができる環境であっても、10年後はどうなっているかわかりません。買収されて別の会社のグループになっているかもしれません。会社が倒産して、別の会社に転職しているかもしれません。

すでに海外に拠点がある会社に勤めている場合は、海外出張を利用して英語を学習することを勧めます。英語を学ぶための絶好の機会です。

上司や部下が外国人になる可能性もある

以前勤めていた会社では、日本企業でしたが日本国内の同僚や取引先にはいろいろな国籍の人がいました。中国、フィルピン、ドイツ、インド、メキシコ、ベトナムなどです。従って、「日本にいるから・・」という言い訳は、もはや機能しないようです。

昨今の社会情勢を考慮すると、人材不足解消のために外国人労働者を採用することは、ごく一般的です。また、地方都市でも外国人を見かけないことなどないはずです。さらに、大企業の役員の顔ぶれを見ると、日本企業でも外国人役員を採用している会社はたくさんあります。

そう考えると、生産技術職に限らず、誰でも英語をコミュニケーションツールとして学ばなくてはならない状況になっています。自分の部下であればともかく、自分の上司が外国人の方になれば、コミュニケーションは確実に英語になります。

技術資料が英語しか対応していない場合がある

生産技術者が英語を学ぶべき大きな理由がこれです。

例えば、設備に使用する機器がドイツ製で、マニュアルが英語版しかない。
例えば、取引している顧客が海外の会社で、顧客から出てくる仕様(製品図面や仕様書など)は英語版しかない。

こんな事例は、これまでもこれからも変わりません。
日本で準備した量産設備を海外工場へ発送する場合は、設備の英語対応も必要になってきます。社内・社外にかかわらず、生産技術職を続ける限り、どこかで海外との取引をする機会は必ず出てきます。

3.生産技術者に必要な英語レベルとは

それでは、どのレベルで英語のスキルが必要なのかを紹介します。
ちなみに、私は海外で生活したり、海外で仕事したりできるくらいの英語スキルを持っています。

流暢に話せるレベルまでは必要ないと考えています。少なくとも、片言レベルでも発言ができて、相手の会話の3割くらいは理解できて、英文マニュアルを何とか理解できるレベルで十分だと考えています。いくつかの単語を組み合わせれば、何とかコミュニケーションをとることはできます。

まったく発言もできなくて、相手の会話も理解できないレベルは避けなくてはなりません。それでは、コミュニケーションの機会自体が失われてしまうからです。上手にできなくても、話そうとする意志を相手に伝えられるレベルの英語スキルは必要です。

ここまで聞くと、難しい話に思えるかもしれませんが、ほかの言語をゼロから学ぶことに比べれば英語のハードルは低いものです。基礎教育を受けていて、学ぼうと思えば学ぶ機会は近くにいくらでもあります。



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