200509 新しいことを始めるときのジレンマ

今回は、「新しいことを始めるときのジレンマ」というテーマで話をします。 世間では楽をして成功したいと考える人が大勢いますが、大きなことを成し遂げるには小さなことから始めなくてはなりません。今回はそんな話をします。

経験者になると見える世界と初心者がはまる困難

その分野の経験者になって初めて気づくことがたくさんあります。
ある分野で成功した人物が「自分は特別だ」という自信をもっていたとしても、新しく挑戦した分野では素人からの入り口しか入れません。残念ながら魔法の扉は存在しません。レベル1とレベル3では見える世界が違いますし、レベル3とレベル5でも見える世界が違います。山登りと同じようなもので、レベルアップを重ねるごとに見える世界が広がってきます。

仕事の例で挙げると、一般職の人には課長職の仕事はできませんし、課長職の人には部長職の仕事をこなすことはできません。それぞれのステージで見えている世界が違います。一般職の人が課長職のポジションにあこがれても、課長職の仕事をこなすことはできません。

新しいことを始めると、このジレンマを感じることがよくあります。

私の場合で紹介すると、例えば、このサイトです。このサイトはhtmlという言語で作成しているのですが、フレームワークを利用すればもっと簡単な構造で作成することができます。 ところが、このサイトはレベル1の人間が作成したので、その当時はフレームワークを使いこなせるスキルがありませんでした。プログラミングスキルが徐々に磨かれてレベル3になると、新しい世界が見えてきて、「こうしておけばよかった」と感じることがたくさん出てきます。
ところが、レベル1の時には将来の世界(レベル3の世界)が見えていないので、レベル1でとれた最善の策がhtml形式だったのです。

これを「新しいことを始めるジレンマ」と呼ぶことにします。

新しいことを始めるときのジレンマの事例

理屈としては理解できていても、実際にはどうすることもできないのです。
最初から効率的なやり方(経験者が採用するやり方)を採用したいのですが、その効率的なやり方を見えるようになるためには、非効率なやり方を経験しないといけないのです。
お金を払えば、その面倒な作業をなくして期待する結果を得ることができるかもしれませんが、自分がレベルアップしているわけでも、知識や経験がついたわけでもありません。結果だけが欲しいのであれば、お金を使えば結果は得られるかもしれません。もう少し事例を紹介します。

例えば、海外旅行に行って英語を話したいと考えて、日本で英語の勉強を始めたとします。自分では勉強したつもりでも、実際に海外で実践すると全く会話ができなかったということはよくあることです。この時に初めて、自分の実力や勉強のやり方の悪さを思い知ることになります。
1度レベルアップしてしまえば、自分より低いレベルの世界を見ることができますが、レベルアップしないといつまでたっても次の世界は見えるようになりません。


初心者がはまる困難を乗り越える方法

新しいことを始めるジレンマは、人の学習意欲をそぎ落としていきます。
新参者に容赦なく困難を投げかけます。複数の人間が関わる集団であれば、羞恥心や被害妄想、劣等感を引き起こす場合もあります。見え方は変わってみるかもしれませんが、実際にはこの新しいことを始めるジレンマという事実があるだけです。受け手が、その状況をどのように受け止めるかの違いです。

「情けないな・・・」
「恥ずかしいな・・・・」
「みっともないな・・・・」

あるいは
「もっと頑張ろう」
「次はこのやり方をしてみよう」


これらは、事実を受け入れた時の本人の感想です。
精神的な余裕があれば、たいしたことではないと割り切ることができます。余裕がなくなってくると、その状況から逃げ出したくなります。この最初の困難を乗り越えるためには「強い意欲」「継続的な挑戦」しかないと考えています。

「強い意志」とは、自分がその道を進んでいきたいという強い思いです。他にも複数の選択肢を採用できる状況であれば、わざわざその道を進みたいと思いません。自分がやりたいと思わなければ、前に進むことはできません。消去法でその道を選んだとしても、前には進めません。

「継続的な挑戦」とは困難を乗り越えるための絶え間ない行動です。最初は大きな壁に見えることでも、少しずつ課題を分析していけば壁を乗り越えることができます。短期的に解決できない場合がほとんどですが、物事はそんなものです。簡単に解決できないから、人は挑戦するのです。
さらに言えば、この課題は最初の壁を乗り越えたあとも続きます。一流のスポーツ選手や有名人が毎日努力を継続していることを考えれば理解できるはずです。いくつか壁を乗り越えると、壁を乗り越えることが徐々に楽しくなってくるのです。

「新しいことを始めるジレンマ」を克服するには、ただ前進するしかありません。山登りと同じ要領で、登っていけばより広い景色から物事を見渡せるようになります。初期の時点では遠くの景色を見渡すことはできませんが、進んでいくと徐々に広い景色が見えるようになり、やがて自分にしか見えない景色に遭遇します。そのときは新しい山を探して登り始めるタイミングです。


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