190902 転職時に年収はそこまで考えない方がいい

今回は転職時の年収について話をします。「本人が転職に何を求めるか」にもよりますが、私はあまり年収を気にするべきではないと考えています。 アメリカや中国とは異なり、日本の場合はサラリーマンの給料はどこも似たり寄ったりです。 どうしても欲しい人材の場合は、戦略的に提示する金額を準備するかもしれませんが、そうなる場合はごくわずかです。

日本経済全体も長期間にわたって停滞していて、今後成長する期待もありません。 そんな状況を考えると、よほどの希少人材にならない限り、年収を大幅に増やすことはできません。 また、年収が他社に比べて高い求人場合は、その理由を正しく理解しておくべきです。 そうでないと入社後に想定していない状況に遭遇するかもしれません。


1.給料が決まる仕組み

転職時の年収の前に、給料が決まる仕組みについて簡単に紹介します。
一般的に給与水準は次の要因で決まります。

  • 法律による賃金規定
  • 市場調査・需要と供給バランス
  • 能力・投資効果

法律による賃金規定

アルバイトや単純作業の仕事に適応される最低労働賃金基準です。
昨今の労働力不足では、完全に需要過多の状況なので、この基準をもとに低い給与を採用しているところはほとんどないと思います。

市場調査・需要と供給バランス

これは地域の同業他社や同一業界での賃金レベルを調査して、業界の動向をもとに自社の賃金を決めます。これは転職市場でも同様の考え方です。競合と比較して明らかに低い場合は、よほど特別な魅力がない限り人は集まりにくいということです。

ただし、新卒従業員の給与を上げるとなると、そう話は単純ではありません。
1年前に入社した社内の先輩社員の給与を超えてしまっては、内部の人間から不満があがるので、 全体を見ながら調整する必要があります。中途社員の場合は、もう少し判断は簡単になりますが、 それでも社内の給与水準や役職者と比較して、給与・役職を決めなくてはなりません。

例えば部長職で採用するとなると、社内規定で決まっている部長職の給与幅から逸脱するわけにはいきません。
逆に部長職以上の給与を与えるとなると、役員として採用する必要があります。

能力・投資効果

少し最近では特別枠を設ける企業も出てきています。
プログラマーなどの専門職で、その人材の成果がもたらす利益とその従業員の給料を比較するわけです。 若手であろうが、年収1千万円を出してでも、それ以上の効果を会社にもたらすのであれば、高い給与を払って採用する会社が増えています。 アメリカのIT企業はこういった人材の奪い合いをしています。

日本企業の新入社員であれば、一般的に月収20万円程度から始まります。
最初のうちは習うこと、覚えることが多いので、たいしたアウトプットは出せていないはずです。 それでも給料は支払われます。 これは会社側がその社員に対して行っている先行投資と考えることができます。 将来実力をつけて会社に貢献してくれるための教育費のようなものです。
徐々に仕事を覚えて3年後にようやく1人前の仕事ができ、5年後には仕事の幅が増え、周りからも頼られる人材になったとします。 これでようやく会社側の期待に沿えるわけです。

2.年収が重要でない理由

話を転職時の年収に戻します。
年収にこだわらない方がいい理由は次の通りです。

年収というプレッシャーがなくなる

転職経験者なら納得できる話ですが、転職してすぐ結果を出すようなことは簡単ではありません。 人脈もなく、社内インフラもありません。ゼロから始まる完全アウェーな状況です。 同業種であれば仕事内容は同じかもしれませんが、周りの環境が影響します。 実力はあったとしても最初のうちは前職と同じようなパフォーマンスを上げることはできません。 もどかしさを感じることになりますが、そういうものです。

高い給料設定で、高い役職についても、それに見合うパフォーマンスができない場合は 周りから白い目で見られることになります。 それならば、最初は低い給料から始めて、徐々に結果を残して昇給していく方がやりやすいと思います。 実力と向上心のある人であれば、可能だと思います。

信じられないような待遇を提示される場合もあるが・・

転職情報を見ていると、世間平均をはるかに超えた額を提示してくる会社もあります。
主に中国系の企業ですが。こういう情報を見ると、何か裏があるのでは?と不信感を持ってしまいます。 評価されているのかもしれませんが、ありえない金額の提示です。

よほどの成長産業で唯一無二の人材であればともかく、一般従業員に対してそんな年収を提示することなどできません。 会社の仕組みを理解している人ならば、誰でもそう判断するはずです。 技術や経験だけを吸い取られて、使い捨てになるのでは?とさえ考えてしまいます。

内定通知の年収は能力評価なのか外部要因なのか

また、どうしても人が集まらない場合や社内離職率が高い場合も募集時の年収を上げる理由になります。 給料を上げないと人が集まらないからです。注意してもらいたいのは、そういう会社は会社自体に魅力がない可能性があるということです(魅力的な会社であれば離職率が低いはず)。

ここでよく考えてみてください。自分の能力が正しく評価されて高い給料になっているのか、それとも外部環境によって給料を高く設定されているのか、どちらなのかということです。 これを簡単に検証する方法があります。別の会社を受けてみればよいのです。 他の会社でも同様の待遇になっているのであれば、能力が正しく判定されているだろうという確信になります。

入社した会社がブラック企業だったら・・・

転職の良し悪しは年収だけでは判断できません。
仮に年収が増えても労働条件が苛酷になったり、精神的なストレスが増えたることなど入社前は想定していないはずです。 入社してから「期待と違った」などと反省しても後戻りすることは簡単ではありません。 従って、年収だけを判断軸にすると失敗する可能性が増えます。 入社前に入手できる情報が少ないためか、数少ない判断材料の1つである年収に注意が向いてしまうのでしょうか・・・

3.年収を気にするのであれば労働者階級から脱出すべき

もし年収に重きを置くのであれば、一般企業に勤めるよりもスタートアップに勤めるか、起業するか、今はやりのyoutuberにでもなった方が可能性はあると思います。サラリーマンは基本的には労働を提供して、その対価として給料を受け取ります。 この構造に所属する限り、高収入を期待できません。

会社員の平均年収が約400万円であることを考えると、年収600万円あれば良しとするべきだと考えています。 サラリーマンであれば、たいてい年収1000万円が頭打ちです。 役員まで行けば、もっと上を目指せますが、かなり狭き門です。 それならば、別の方法(労働を売り物にしない方法)で仕事をするほうが良いでしょう。

個人的な話をすると、転職時に給料は多少下がっても良いと考えていました。 これは、転職目的が年収ではなかったからです。仕事内容や自分のレベルアップ、新しい挑戦が転職の目的でしたので、それが実現できそうな会社を厳選しました。結果的にですが、年収は上がりました。

4.まとめ

転職の目的が給料であれば、給料の良い仕事を探すのは良いかもしれません。 給料は実力を評価してもらえるようになると自然に上がってきます。 ただし、サラリーマンの給料には限界があります。

人生の中で給料に重きを置くのであれば、サラリーマンを卒業することを勧めます。 こう考えると、 最終的に行きつく先は「給料アップを求める=サラリーマンを卒業する」となります。 それなら、最初から給料を転職の理由にしない方が良いと思います。



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