191125 仕事に対する悩み解決と転職の考え方

仕事や職場で悩みを持つ人は大勢います。そのほとんどが些細な悩みに思えるものですが、そうした悩みから職場を変えたいと考えている人が大半です。ただし、安易な転職はお勧めしません。多くの中途入社者や退職者を見てきた経験から、わずかながらにアドバイスしたいと思います。安易な転職をしても状況が悪化するだけですので、経験者として転職の考え方を紹介します。

1.仕事の悩みについて

よくある職場の悩みをあげると次のような項目です。

  • キャリア形成が出来ていないのでは?
  • 今の仕事が本当にやりたい仕事なのか?
  • 会社の将来に対して不安
  • 給料が安い
  • 職場の人間関係に疲れた

仕事に関する悩みは、人それぞれです。転職によって解決できる悩みもあれば、転職することで生まれる新しい悩みもあります。特に入社して間もない若手社員は環境にも仕事にも慣れず、退職を検討するものです。環境に慣れないうちは、その環境が悪く見えてしまうものです。

ただ、少し冷静になって転職で悩みが解決されるのかどうかよく考えてみてください。新しい職場が今よりいいという保証はありませんし、外からではなかなか判断できません。転職自体に反対ではありませんが、安易な転職はお勧めしません。状況をよく分析して慎重な判断を心がけてください。 自分が職場に何を求めているのか、どんなキャリアを積みたいのか、長期的に後悔しないか、などです。 希望がすべて通るようなことはありません。優先したい事柄が何なのかを自分の中で整理しておかないと転職後に幸せになれない可能性があります。

2.転職すべき人、転職すべきでない人の基準

転職者を大勢見てきましたが、新しい職場で活躍できている人とそうでない人がいます。
転職ということで、一応採用プロセスを通過した選ばれた人材のはずですが、必ずしも会社と個人の期待は一致しなかったようです。こんな話をするとますます転職にネガティブになる人が増えるかもしれませんが、現実は意外とシンプルです。

転職に踏み切るかどうかの1つの基準として、社内での自分の序列を考えてみてください。社内でエースとして期待され、仕事を任されるような人物であるかどうかということです。今の勤務先で活躍できていないのであれば、新しい職場でも活躍できない可能性の方が高いということです。 人間というのは経歴や一時的な言動だけでは実力を隠せません。一緒に仕事をして、仕事ぶりや行動を見ればその人の実力というのはわかります。

転職すべき人(社内で序列の高い人)

まず、社内で活躍して実績を残している人達です。
社内からも求められる人材で、他社に行っても活躍できる可能性の高い人材です。
社内でそのまま活躍するのも、新しい職場で活躍するのもどちらでもよいと思います。

転職すべきでない人(社内で序列の低い人)

次に、社内であまり活躍できていない人です。
社内であまり活躍できていない人たちは、なぜ今の社内で結果を出せていないのかをよく考えるべきです。 新しい職場では、すべてのことが不利に働きます。人脈もなく、信頼もありません。 何をするにも今の職場よりもやりにくくなります。その中で結果を出さないと、周りからの評価は得られず、本人の立場が苦しくなるだけです。

転職すべきでない人(なかなか内定が出ない人)

内定が出ない人にも転職を勧めません。なぜ内定が出ないのかをよく考えるべきです。
面接は多少のテクニックがあれば突破できるかもしれませんが、そんなことをしてもあまり意味がありません。本質的なところで、他社がその人の何を評価しているのかという観点で物事を考える必要があります。

専門性や実力が不足している場合、今の会社でまず専門性や実力を身に付けなくてはなりません。自社では身に付かないと考えるのであれば、帰宅後に自ら勉強することです。少なくとも市場が求めているものを獲得する方法を考えるべきです。 また、面接で相手を納得させられないということは自分をうまく売り込めないということです。そんな人は新しい職場でも活躍できる要素は少ないということです。

3.市場調査と自分の市場価値を知る

自分がどちらのグループに所属するかわからない人、社内で正当に評価されていないと感じる人は、社外で自分の市場調査をしてみるのも1つの手段です。転職する/しないにかかわらず、他人の評価を受けることで客観的に自分の能力を評価できます。

現状把握をする

転職を考える前に自分の現状把握から始めます。 実力を試すために転職サイトに登録し、採用面接を受けてみることをお勧めします。 この段階で必ずしも転職を考える必要はありません。

・どんな案件が自分に回ってくるか
・採用面接に合格するのかどうか
・他社から期待されているかどうか
・自分の実力が外の世界で通用するのかどうか

など、自分の市場価値を知る指標になります。

試しにどこかの会社に応募して面接を受けてみることもお勧めします。採用されるかどうかよりも、自分の能力が評価されているのかどうかわかります。また、仮に転職する場合でも、いきなり本命の会社に応募するよりも適当な会社で面接してみて練習しておいた方が賢明です。

転職活動をすることで自分のことを振り返るいい機会になります。 自分がどんなスキルを持っているのか、次の職場で何を求めているのか、これまでどんな実績を残してきたのか、そういうことを客観的に整理することができます。というのも、同じ職場で長年仕事を続けていると良くも悪くも感覚がマヒしてきます。

将来の準備として考える

現実問題として捉えてもらいたいのは、会社の倒産や転勤といった外部要因により、 突然決断しなくてはならない可能性は高いということです。 そうなったときに準備している人間と全く何も準備していない人間であれば、その時取れる行動は大きく変わってきます。
いつ何が起きても良いように、普段から準備をしておけば何かあった時も戸惑う心配はありません。 少なくとも自分が所属している業界の需要動向や、転職市場での自分を価値はあらかじめ調べておくべきです。ある程度の情報を持っていれば、合理的な判断ができるようになります。 転職希望の有無にかかわらず、自分の市場価値を確認してみましょう。

4.まとめ

長々と記載しましたが、まとめると以下のようになります。

  • 現職での問題は何なのか、転職して本当にその問題が解決する見込みがあるのかよく考える
  • 転職にはメリットもデメリットもあります。自分の実力を客観的に分析して転職に向いているのかどうか判断 してください。転職に向いていないと思えば、現職で仕事をしながら専門性を磨くことです。
  • グローバル経済が加速していることで企業の盛衰サイクルは加速しています。会社の倒産などにより将来的に 転職しなくてはならない状況に陥る可能性はあります。いま転職しなくても、自己研鑽しながら業界分析を行 い、いつでも転職できる準備をすることです。
  • 将来に不安を抱くのであれば、肉体的にも精神的にも若いうちに1度転職して人生経験を積んでおくことも一つの選択肢です。



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