1.日本企業の相対的地位低下と日本人の生産性の低さ

一部の例外はあるかもしれませんが、いろいろなアンケート調査を見ても日本のサラリーマンのモチベーションの低さや日本企業の相対的な地位低下が、状況をよく説明しています。

参考資料)時価総額ランキング https://media.startup-db.com/research/marketcap-global
※30年前は日本企業もトップ10にランクインしていました。

参考資料)日本の「はたらく意識」の特徴を国際比較調査
https://rc.persol-group.co.jp/news/201908270001.html

※簡単に要約すると、 昇進意欲が低い、勤続意欲も低い、ところが転職や独立志向も低い、社外での自己研鑽や勉学の時間も最低水準。これだけ見ると、日本のサラリーマンはどうなりたいのかよくわかりません。仕事をしたくないけど、独立や転職もしない、将来に向けての何の勉強や準備もしていない、そうにしか思えません。


このモチベーションの低さが、日本の生産性の低さを的確に表現しています。
以前勤めていた会社の社内を見渡しても、モチベーションと生産性の低さはこのアンケート通りでした。

日本の終身雇用制度は、長期的な雇用を前提としています。変化の激しい現代において、この考え方をもとに今後の人生を歩んでいくのはリスク以外の何物でもありません。この長期雇用を背景に、入社することが目的になってしまい、のらりくらりと残りの社会人生活を生き抜くという考えが大勢のサラリーマンに当てはまるのではないでしょうか。一方で一部の若者は、そんな現状を見て危機感を覚え、いろいろ挑戦しようと動いているように見えます。

2.生産性を下げる日本の残業文化

仕事を膨大に抱えていて、大きな成果を上げている人の残業は今回の話から除外します。そうではなくて、たいしたアウトプットも出していないのに残業が多い人をターゲットに話をします。なぜ日本の会社では残業が多いのか自分なりに考えてみました。

諸外国との労働生産性の比較

少し前から日本でも社会問題になっている過労問題ですが、私がこれまで見てきた景色をもとに少し話をします。海外生活で見てきた中で、過労問題を抱えるのは日本と韓国くらいです。さらに言えば、この2国は精神衛生状態が良くない人が多い「ストレス国家」でもあります。

その他諸外国の働き方を見るかぎり、ストレスを抱えて過労状態というものはありませんでした。従業員は夕方になると帰宅準備を始めます。週末など、よほどのことがない限り仕事はしません。世界的に見ても、日本の労働環境が普通ではないということです。さらにいえば、過去10年でたいして経済成長がないにもかかわらず、忙しく働いています。その他先進国と比較しても労働生産性は低い方です。これだけで判断すると、日本の働き方がよくないとしか思えません。

日本人サラリーマンは帰らない

私が以前勤めていたモーレツ会社では、事業規模が年々拡大していて忙しい状況でしたので他人の労務面も気にかけていました。毎日のように長時間残業をしても、いいものは生まれませんし、本人のメンタルも病んできます。当時は海外勤務だったこともあり、日本から来る出張者に対しては、適当な時間に帰宅させるよう促していました。

例えば、数名のグループで仕事をしていて、必要な残業があるのであれば、最低限の人が残って他の人間を早く帰らせようとしていました。全員が付き合い残業していても共倒れです。精神論で仕事をしても合理的ではありません。ところが誰も帰宅しません。若い人が周りに気を遣って帰りにくいのはわかります。私もそれなりの立場だったので、そうならないように帰宅しやすい雰囲気を作っているつもりでしたが。

転職先では、長老達の住み家といえるほど平均年齢が高く、熟年従業員ばかりでした。前職のモーレツ会社に比べれば、たいして忙しくはなかったのですが、なぜか皆さん帰宅しません。とても残業必要とは思えませんでしたが、前職のモーレツ会社同様に残業する人は大勢いました。

どうも日本人サラリーマンは、仕事量に関係なく残業してしまうようです。

生産性の低い人に限って残業が多い

これもおかしな話ですが、モチベーションも低く業務量も少ない人でも残業している人が大勢います。仕事ぶりや言動を見ていても、仕事をやりたくなさそうにしています。ところが、慢性的に残業しています。(※仕事量が多くて残業している人は話題から除いています)何が彼らにそうさせるのか疑問です。

わたしには、のんびり長く働くことに生きがいを見出しているようにしか思えませんでした。彼らにとっては残業が日常化しているのです。定時帰宅する努力をしておらず、定時後の自分の時間を会社に捧げることで、彼らに何かのメリットがあるようです。内心では残業したくないと思いながらも、仕事をしているふりをして会社に残るのです。

定時間内に集中していない

そもそも彼らは、定時間内に集中して効率的な仕事などしていません。仕事をしていないわけではないですが、のんびりのらりくらりといった様子で時間をつぶしています。少なくとも私にはそう見えました。しょうもない打ち合わせに参加して時間をつぶしたり、しょうもないメールや長電話で時間を費やしたりするのです。こんな仕事ぶりで生産性が上がるわけがありません。

これは考え方の問題なので、同意を求めるわけではないですが、生産性を高めて少ない投入工数で同じ仕事をこなし、空いた時間やリソースを別のことに投入することを私は望みました。こうしないとイノベーションは生まれないと思うのです。やるべきことをこなして、次にやることがなくなれば、空いた時間にのんびり過ごせばよいのです。
帰宅時間もできるだけ遅くならないように努力をしていました。早く帰宅して、自分の時間を有意義に過ごすことを望んでいました。これが、私が考える21世紀の働き方です。生産性を高めて労働時間を減らすというものです。
日本全体で見ればどうも私の方が変な存在のようです。

残業代目当ての残業は間違った考え

これも無駄に残業する人の悪しき習慣ですが、「会社にいる時間を長くすれば給料も比例して増える」と考える人は大勢います。ただし、注意してもらいたいのは、これは自分の価値を下げる行為ということです。見る人が見れば、その人の残業が妥当かどうかすぐわかります。生産性を下げる行為の方が高い報酬をもらえるという考えは、無理があります。一時的には機能するかもしれませんが、長期的には本人にメリットになるはずがありません。それよりは、自分の価値を高めて出世して給与単価を上げるか、早く帰宅して空き時間で能力開発を行い、さらに生産性を高める努力をする方がよいでしょう。

残業に対する正しい考え方

残業とは本来「悪」と考えるべきです。仕事のできない人が、未完成の仕事を補うためのものです。あるいは、突発的に発生した業務対応を行うための手段です。慢性的に残業しているということは、どこかに「無理」や「異常」があるということです。(※仕事を膨大に抱えていて、大きな成果を上げている一部の人の事例は除きます)


3.目指すべき生産性の高い働き方

参考になる事例を紹介します。
グーグルやネットフリックスは、プロスポーツ選手のようなエキスパート集団でチームを組織してプロジェクトを進めるという考え方です。仕事はプロジェクト単位で結成して、プロジェクトの終了とともに解散します。そこに居続けることが、その人の価値の証明になります。一般サラリーマンが勤める会社組織でも同様の働き方を目指すべきです。
日本の一般企業の働き方は、残念ながらこの真逆の状態です。終身雇用制度に守られ、一度採用された後はほとんど努力をしない、こんな状態の人が大勢います。


理想とする働き方

それでは一般サラリーマンの働き方を見ていきます。
まず、単純労働を勤務時間中続けるような働き方を目指すべきではないと思います。実際には、そういう仕事をする人のおかげで社会が成り立っているのは事実ですし、完全否定するつもりもありません。短期的にそういった仕事に従事するのは構いませんが、長期的に従事するべきではないというのが私の考えです。

便利な世の中になっているので、そういった仕事はどんどん効率化、省人化していき、もっと本質的な仕事、個人や社会が豊かになるような仕事にリソースを投入するべきだと考えています。その方が社会全体としては豊かになるからです。単純労働をしている人にとっても別の雇用機会でスキルを高める方が良いはずです。

続いて勤務時間について話をします。サラリーマンの場合、8時間は勤務時間になっています。ほとんどの人が、なんとなく時間を費やして消耗しながら残業する毎日を過ごしているはずです。ひたすら働いているにもかかわらず給料は上がらず、税金や社会保障費を支払い、残った給料から家計を支えているはずです。この働き方では豊かにはなれません。

私の提案は、半日を集中して成果を上げる仕事に取り組み、残りの半日を自由に過ごす、あるいは事務的な作業にあてる、こういう働き方の方が良いと思うのです。ポイントとして、短時間を集中して働き、残りの時間は余裕をもって過ごすということです。

サラリーマンも自分で自分の給料を稼ぐという意識をもって、自分の仕事のアウトプットに責任を持ち、自分の価値を高める働き方をしなくてはなりません。会社に依存して上司に言われたことだけをこなすのではなく、個人の工夫を仕事に盛り込み、自分の仕事をするために会社を利用するくらいの意識を持たなくてはならないのです。実力がつけば他の会社からオファーが来て、会社に縛られない働き方をすることができるようになります。

私の経験から話をすると、8時間集中して濃い仕事をしている人は少ないからです。一般職のサラリーマンほどのんびり仕事をしています。これでは個人の価値は上がりませんし、社会も豊かにはなりません。

4. 仕事の生産性を高める工夫

最近では技術革新のおかげで10年前、20年前に比べて生活が便利になりました。

  • スマートフォンで何でもできるようになりました。
  • 海外との通話もSNSやskypeなどのアプリを使うとほぼ無料です。
  • インターネットのメールサービスやドライブ保存することも無料です。
  • 電子書籍のおかげで海外にいても日本の書籍をワンクリックで購入できます。

生活が便利になったと感じる一方で職場での働き方はあまり変わっていません。 少なくとも私が勤めていた会社では、私の入社当時と10年後の退社当時でほとんど変わりませんでした。一部の優秀な人は仕事を効率的にこなしていましたが、その他大半はまだまだ従来の働き方でした。
世の中が前進している以上、社内の仕事も前進しなくてはなりません。つまり、生産性を高めなくてはならないのです。

客観的に見ると、生活を便利にしているのはソフトウェア関係の技術であるのに対して、私が所属していたのは製造業というハードの会社だったという違いはあります。とはいえ、世の中が便利になっている以上、仕事のやり方も工夫して小さいインプットで大きなアウトプットを出すような努力をするべきだと考えていました。

仕事の効率を上げるために私が持っていた考え方をいくつか紹介します。

生産性を高める工夫1 日程の前倒しをする

例えば、普段10時間かかっている作業を2時間で終わらす。長期的な計画も各ステップを予定に対して前倒して実行する。これくらいのスケールで仕事の効率化を考えないと、最終的な仕事の精度は改善されません。

生産性を高める工夫2 不測の事態を予測する

いつでも不測の事態は起こりえます。誰かが失敗したり、さぼったりすれば物事はうまくいきません。すべてがうまくいくことなどありえないので、うまくいかない確率の方が常に高いわけです。自分1人で完結する仕事であれば、すべて把握できるので良いのですが、サラリーマンの場合はそうでないことの方が多いものです。
そういう遅延リスクをあらかじめ想定して、潰しておくことで物事を自分の想定したレールの上で走らせることができるようになります。もちろん、そうなるまでに経験を積む必要はありますが。

生産性を高める工夫3 やり直しを減らす

設計作業でも、稟議書でも、報告書でも、設備デバッグでも、現場の不良改善でも、なんでもそうですが、何年も同じ仕事を続けていると、要領が分かってくるものです。自分がその仕事のエキスパートです。にもかかわらず、他人からいちいち指示や指摘を受けることは仕事の精度が悪いということです。自分の仕事を客観的に判断して、自分や他人が納得できる状態のものかどうかを評価してみてください。少なくとも誰が見ても80点は取れるレベルの仕事をしないと、一人前とは言えません。

生産性を高める工夫4 無駄な仕事をしない

時間は有限です。1日のうち8時間を集中して使えばできる作業はたくさんあります。本来自分がするべき仕事でない仕事や時間の無駄になる行為、例えば、無駄な打ち合わせや無駄なメールのやり取りなどで時間を浪費するべきではありません。必要かどうかを判断して時間を有効的に使えば、できる仕事の量は増えていきます。

生産性を高める工夫5 集中して作業をする

これも言うまでもないですが、ダラダラ仕事をするのではなく時間を決めて密度の濃い仕事をするだけです。
体調や精神状態などの理由で、仕事に集中できない日は早めに帰宅して、翌日に万全の状態で再開すればよいのです。

生産性を高める工夫6 専門知識やスキルを身に付ける

仕事で頭を悩ますことがある場合は、スキルや判断材料になる情報が不足しています。よほどの難解な案件を除き、アプローチの仕方・判断というのは優秀な人ほど精度良く実施します。これができるようになるには、必要な情報やスキルをインプットするしかないので、必要な場合は仕事以外の時間で学びましょう。


働き方を見直して仕事の生産性を高めるための考えを紹介しました。 サラリーマンは決められた時間を会社で過ごすということが普通なので、時間前に仕事を終わらせないようダラダラ働く人もいますが、それは21世紀の働き方ではありません。これからはどんどん効率化して、同じ仕事であれば少ない時間でこなして生産性を上げていかなければなりません。余った時間で新しいことにリソースを投入して新しい事業を育てていくべきなのです。



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