200114 全体最適を意識した仕事をすることが一流の仕事人

今回は「全体最適を意識した仕事をすることが一流の仕事人」というテーマで話をします。 普段の仕事では気づかないことかもしれませんが、全体最適を考えて仕事をすることで相手があなたに対して持つ印象や相手の仕事のしやすさは大きく変わります。ちょっとした気遣いですが、仕事のできる人はこういった小さな部分をうまくカバーできています。

【目次】

  1. 全体最適できていない悪い事例の紹介
    • 悪い事例1)まとまっていない説明資料での打ち合わせ
    • 悪い事例2)前段取りのできていない人物
    • 悪い事例3)メールがチャットのようになる人物
    • 悪い事例4)電話の長い人物
  2. 全体最適を考慮した仕事のメリット
    • メリット1)他人の手間が減り、全体最適につながる
    • メリット2)他人だけでなく、自分の考えの整理にもなる
    • メリット3)自分の仕事に余裕ができる
    • メリット4)相手からの評価が上がる

全体最適できていない悪い事例の紹介

まず、悪い事例をいくつか紹介します。
会社員をしているとよく見かける状況だと思います。それぞれ事情はあるのかと思いますが、大きな要因は担当者の仕事の考え方と仕事の品質です。

悪い事例1)まとまっていない説明資料での打ち合わせ

事前の資料準備などもなく、打ち合わせでの内容が口頭やメール文面レベルで、情報にまとまりがなく終わるような会議です。文字の羅列だけでまとまりがない打合せ資料も同様です。

打ち合わせで断片的な資料を見せられても記憶に残しませんし、記録としても残りません。これでは後で振り返ることもできませんし、打ち合わせ参加者が他人に情報展開することもできません。 参加者が気を利かせて他人に情報展開しようとすると、参加者が自ら情報をまとめなくてはなりません。 これでは手間が増えるだけですね。

悪い事例2)前段取りのできていない人物

重要なイベント当日に準備に取り掛かる人間がいます。 例えば90%の完成度で仕事をこなしておいて、残り10%を当日対応するといった具合です。こういう考え方をする人は仕事で失敗しています。

関係者からしてみれば、「何をやっているんだ」という印象です。前日にすべて準備しておけば、当日は余裕をもてるはずですが、当日になってバタバタ準備をするなど、愚かの極みです。関係者の時間の無駄です。本人もイベント当日にバタバタすることになり、たいてい失敗します。本番には想定外のリスクがつきものです。どんな事が起きても対処できるように自分に余裕を持たせておく必要があります。

当日になってバタバタ準備しているようでは、対処できる問題も対処できなくなります。残念ながら、仕事のできない人はこういう考え方で仕事をしていません。  

悪い事例3)メールがチャットのようになる人物

これも時間の無駄ですね。
1回のメールで完結すればよいものを、しょうもないやりとりで3度、4度メールの往復がある場合です。 自分の時間も相手の時間も無駄にしています。「メールをすること」が仕事ではなく、「仕事を完了すること」が仕事です。 1度で終わるメールを心がけるべきで、メールで仕事が終わらないのであれば、電話をするか直接話をすればよいのです。

悪い事例4)電話の長い人物

要点をまとめて話さないことで、聞く側が延々としょうもない話に付き合わされるパターンです。 メールの件と同じでこれも完全に時間の無駄ですね。本人は相手の時間を浪費しているという意識はないのです。自分の主張だけを優先させる人たちです。

全体最適を考慮した仕事のメリット

つづいて、全体最適を考慮した仕事をした時のメリットについて説明します。

メリット1)他人の手間が減り、全体最適につながる

プレゼン資料、打ち合わせ、メール文面、電話一本にしても他人が分かりやすい内容に整理しておくことで、質疑の時間や無駄なやり取りが減ります。この無駄なやり取りを減らすことで、自分も他人も他のことに投入できる時間が増えます。結果的に全体のアウトプットが増えます。逆に無駄なやり取りが増えると、互いに足の引っ張り合いのような状態になり、負のスパイラルに陥ります。

わかりやすい例が報告書だと考えてください。報告書の出来が悪い人は何度もやり直しが入りますね。同じように打ち合わせ、メール文面、電話のレベルが低いと物事は円滑に進まないということです。

メリット2)他人だけでなく、自分の考えの整理にもなる

他人に展開する前に情報を整理して見やすい状態にしておくことで、他人だけでなく自分の考えも整理することができます。自分で情報を見直してみて、「変だな」と思う点があれば、他人が見ても同じ認識をします。
一貫性のない情報で無理やり他人に納得させたところで、後になって大きな失敗を犯すことになります。物事はそう甘くはありませんし、万物は真理通りにしか従いません。間違った方向性は必ず失敗します。

他人に伝わりやすいかどうかという視点を持つと、自分の考えも整理することができ、自分の仕事を少し客観的に見えるようになります。上司が変なことを指示してきたときも、その主張が正しいかどうかを判断できるようになります。

メリット3)自分の仕事に余裕ができる

これはイベント当日に慌てて準備をする愚か者の話を受けての説明になりますが、遅くてもイベントの前日には準備をすべて完了させておかなくてはなりません。
イベントを具体例にしましたが、イベントとは「仕事の期限」と考えてください。つまり、すべての仕事に対して期限前に余裕を持っておくべきということです。

  • 打ち合わせの場合は、打合せ資料を前日までに準備して展開しておく
  • 出張であれば、出張前日までに必要なものをすべて準備しておく
  • イベントであれば、前日までに必要なものをすべて準備しておく


基本的なことですが、できていない人は結構います。

少し具体的な話をすると、私は以前、海外工場で働いていました。
私が勤めている拠点に日本本社からエンジニアが出張で来るのですが、自分が担当する案件の生産ライン・設備について「全く何も知らない」、「準備もしてきていない」ということが頻繁にありました。
これまで全く関わっていなかった別案件にアサインされたというわけではなく、自分が担当していたプロジェクトの案件で、です。「担当が違うから自分は理解していない」、「自分が担当したことない設備だからわからない」、などです。出張前に設備仕様を調べることもできますし、本社の試作機で簡単な使い方を習うこともできます。ところがそういった準備をまったくやらずに、言われた通り出張に来ましたという人たちです。
「今から戦争に行くのに、武器一つ持っていません」というのと同じ状況に見えました。自分が出張先で困ることが分かっていながら、何の準備も対策もしていないのです。これで仕事が進むはずがありません。


物事とはうまくいかないことの方が多いので、想定していない問題や見落としは必ず発生します。そうしたときに余裕を持って対処できるかどうかは、準備段階での完成度次第です。何が起きても対処できるように、本番での作業を極力減らして身軽な状態にしておくためにも準備を入念にしておくことです。それが自分を助ける手段でもあります。

メリット4)相手からの評価が上がる

全体最適を考慮して相手の負荷が減ると、あなたに対しての印象は良くなります。

  • まとまっていない情報を相手がまとめるとなると余計な手間が増えます
  • イベント本番で四苦八苦している人を見て、参加者(相手)の時間を無駄に浪費していると相手も大きく失望します

たとえ、社内の人間であっても顧客を相手にしているのと同様に接するべきです。社内だから、部下だから、といって適当にあしらうと自分の評価を落とします。日常の言動や行動がすべて自分の評価を形成しています。 誰からも敬意を持たれるような仕事を心がけないと自分の評価は下がる一方です。

どうも日本の会社では、社内や下請けに対して強い立場を持っていると勘違いして振舞う人が今でも多い印象を受けます。こういう人たちは自分の評価を下げています。



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