200812 進学か就職で迷っている学生に伝えたいこと

今回は「進学か就職で迷っている学生に伝えたいこと」というテーマで話をします。対象は高校生を想定しています。大学生が大学院(あるいは博士課程や海外MBA)に進学するかどうかを述べたものではありません。
よくある高校生のイメージは次のようなものです。
・遊ぶために大学進学する人がほとんどなので、行くだけ無駄では?
・大学の学費(約200~400万円)を考えると就職をした方がいいのでは?
・やりたいことがないので就職した方がいいのでは?


そんな学生に向けて社会人の先輩からいくつかアドバイスしたいと思います。


【目次】

  1. 大学は勉強だけを目的とした場所ではない
    • 人との出会いの場所である
    • アルバイトをして社会経験を積む
    • ボランティアや海外旅行をして知らない世界を体験する
    • インターンで会社の内部を体験する
    • やりたいことを真剣に探すことができる
  2. 若い頃にはスキルや専門性を磨くべき
  3. 長期的に状況は変わるということを理解しておくべき

1.大学は勉強だけを目的とした場所ではない

大学=勉強と考えがちですが、大学には学業以外にも魅力的な要素がいくつかあります。いくつか紹介します。

人との出会いの場所である

特に総合大学に行けば、様々な学部の生徒がいます。大学以外にもアルバイトをしたり、社会人とつながりを持つようなことも可能です。留学生がいる大学も今では増えています。高校生活以上に「多様性」を感じることができるはずです。

アルバイトをして社会経験を積む

アルバイトをするのも自由です。学生は金銭的に余裕がないので、ほとんどの学生がアルバイトをしています。金銭的な目的だけを優先すれば、つまらないアルバイトになってしまうかもしれません。ところが、会社員に近い環境で働くことができれば、学生の間に社会人生活を体験することができます。

私は、金銭的なリターンよりもそういった体験の方に価値があると考えています。そういった実体験が将来の自分の状況を想像する目安になります。

ボランティアや海外旅行をして知らない世界を体験する

こちらもオススメしたい内容です。いったん就職すると、時間的な理由でボランティアや海外旅行はできません。特に海外旅行に行ったことがない人には、海外旅行をおススメします。
友達と観光地を巡るだけではだめですが、1人で海外に出て日本語以外の言葉で現地の人とコミュニケーションして、現地の生活を肌で体験するのです。良くも悪くも日本との違いを体験できます。また、日常を離れることで自分の生活を振り返る機会も与えてくれます。

インターンで会社の内部を体験する

こちらもオススメしたい内容です。就職して後悔しないためにも、事前に内部事情を知ることです。
ほとんどの場合は就職するまで内部事情は分かりません。 ほとんど情報を持たずに就職という大きな決断をしなくてはならないのですが、これではくじ引きと同じです。アタリかハズレか、入社するまで分からないのです。

採用という選考プロセスをせっかく通過したのにハズレだった場合、大きな失望感を持つはずです。インターンに参加すれば、そのリスクを減らすことが可能です。

やりたいことを真剣に探すことができる

これも大学生活のメリットの1つです。やりたいことが明確になっている人は極めてまれです。ほとんどの人はなんとなく就職しています。
それでも、上述した通りの「多様性」を経験することができるおかげで判断材料は増えます。現時点でやりたいことが明確になっていないのであれば、少し時間を取ってたくさんの人と出会って、たくさんのことを経験すれば何かヒントになるようなことが見つかるかもしれません。



以上、簡単に大学生活のメリットを紹介しました。
人生100年時代といわれている中で、たった4年間ならば社会勉強として過ごす大学生活も悪くないと思います。一度就職すると、時間が取れません。何かを学びたいと思っても簡単ではありません。

もちろん、仕事を通して得られるスキルや経験があることも事実です。ただし、仕事をしていれば勝手に身に付くというような都合の良いことはほとんどなく、自ら勉強しない限りは何事も身に付きません。若い頃にやっておけばよかったと後悔する人が多いのは事実です。若い頃というのはそれほど貴重なのです。(※自分が若い頃は意識できないかもしれませんが・・・)

2.若い頃にはスキルや専門性を磨くべき

年を取ると世間の目は厳しくなります。「年齢が若い」という理由だけで採用されるような会社でも、スキルのない中年を採用してくれる会社は少ないのです。

終身雇用や解雇規制は日本特有のものです。就職したから人生の面倒を会社が見てくれる時代はすでに終わりつつあります。人生経験の浅い10代で下した決断で残りの何十年という人生を後悔しないで暮らすことは困難なはずです。

それならば、もう少し社会について学んで今より合理的な判断ができる状態になってから大きな決断をしてもらいたいと考えています。


3.長期的に状況は変わるということを理解しておくべき

・地元にある会社に勤めたい
・福利厚生が良いから大企業に勤めたい
・先輩が勤めているから努めたい

こんな理由で会社選びをする人は少なくないのではないでしょうか? 会社選びはそう簡単ではありませんし、なかなか内部事情も外部からではわかりません。一般消費者向けのサービスを提供している会社であればともかく、ほとんどの会社の仕事内容は入社するまで見えないものです。同僚や配属先も入社するまで分からないことがほとんどです。これは大きなリスクです。

最悪を想定できている人なら大きな驚きはないでしょう。ところが、現実問題として「期待と違った」という声をよく聞きます。新入社員の8割が3年以内に退職を検討すると言われています。実際に退職するのは3割ほどです。

なかには人生をささげる人もいるかもしれません。ところが、昨今では会社寿命は短くなっています。人の寿命よりも会社の寿命の方がはるかに短くなっています。買収や倒産もあります。会社は倒産しないまでも、勤務先の事業所を閉じる可能性もあります。

40年という勤労期間を考えれば、同じ場所で同じ仕事を継続するということは奇跡に近い状況です。外部環境の変化が激しく、会社もそんな状況に左右されます。個人の考えも変わるかもしれません。最初はやりたかった仕事が5年、10年後にはただの苦痛にしか感じられなくなるかもしれません。 社内の人事制度や福利厚生は定期的に見直されます。最初は待遇がよくても、一生続く保証などありません。その逆もしかりです。



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