201014 余裕がある状況とその時の活動について

今回は「余裕がある状況とその時の活動について」というテーマで話をします。現在の自分の状況を客観的に判断する参考にしてもらえばと思います。

余裕がある状況と余裕がない状況について

日本で暮らす人は比較的余裕がある状況だと考えています。生活インフラが整っていて雇用も守られています。教育を受けられる体制もできていて、行政もそれなりに機能しています。中にはブラック企業もありますが、社会全体を見ると「余裕」がある状況だと考えています。

一方で余裕がない状況とはどんな状況かというと、ベンチャー企業が事業を始めるよう状況です。お金もない、人材もいない、仕組みも整っていない、売り上げもない、といった具合で未開の地を開拓していかなくてはなりません。事業を軌道に乗せるまでは常に事業資金の心配をしながら、ひたすら仕事に励むような状況です。数少ないメンバーで営業、開発、経理、マーケティングなどをこなすため、専門以外のこともこなさなくてはなりません。誰にでもイメージできるはずです。
事業規模が拡大している場合も同様です。組織体制が追い付かないため、各人の業務量は増えキャパオーバーになります。こんな状況が余裕がない状況です。

自分の状況を知る

さて、それでは今の自分の状況がどうなのか考えてみます。
自分では余裕がないと思えるような状況でも、他人から見れば余裕があるということはあります。本人の実力や周辺環境も判断材料になります。そして何より大切なのが「客観視」と「比較」です。自分で客観的に判断しているつもりでも、実は主観的な要素を多く含んでいたということはあります。

1つ事例を上げます。

2010年代に出張した中国工場では毎月1~2日しか休まないという従業員が大勢いました。仕事が多忙だったこともありますが、勤務しただけ自分の給料が増えるので金銭的な見返りを望む中国人はよく働いていました。海外では日本と違って祝日もほとんどありません。 そんな彼らが日本に来ると、日本の週末(土日)や祝日の多さに驚きます。一方で日本しか知らない人は、週末や祝日で恵まれているにもかかわらず少し残業や休日出勤があるだけで不満を持つ人もいます。


もう1つ事例を上げます。

出張時の人数です。遠方に出張するとなると移動費や宿泊費がかかります。また日常業務も停滞するため、会社にとっては不要な出張は避けたいところです。必要以上の人数で出張するのは、悪い言い方をすればリソースの無駄です。 ところが、集団での出張をよく見かけます。これは会社に「余裕」があるからできるのです。上述したベンチャー企業などでリソースをかけて同じ仕事をするようなことはできません。 会社規模と余裕度はたいてい比例します。

余裕がありすぎることの弊害

余裕があることはありがたいことです。
ところが、「余裕」が当たり前になってくると悪い方向に作用することもあります。人間は環境になれます。厳しい環境であれば、いずれその厳しさに耐えられる人間になります。一方で甘い環境に長居すると、人間は堕落してしまいます。 上述の中国と日本の違いの通りです。普段は自分の環境の厳しさ・甘さを意識しないかもしれませんが、悪い方向に作用すると結果的に自分が低い方向に落ちていくことになります。

余裕があるときにやっておくこと

余裕を享受しつつも自分を磨くためにはどうすればよいのでしょうか。
私なりに考えた答えは、自己研鑽と挑戦です。

余裕がある生活をしている人は、余裕があるうちにその「余裕」を生かして何かに取り組むべきなのです。自分の環境をコントロールするために、自分に負荷をかけるのです。外部環境による負荷がないのであれば、自分で自分に負荷をかけてバランスさせるということです。

誤解のないように断っておくと、空き時間に勉強しろとか、もっと仕事をしろとか、そういう話ではありません。そうではなくて、適度に自分にプレッシャーをかけておくということです。

既得権の記事でも似たような話をしましたが、甘い環境に慣れてしまうと自分の本来の実力以外の要素により物事がうまくいくことがあります。それが悪いというわけではないのですが、正しく事実を理解していないと前提条件が崩れたときに自分が困るということです。 正しく状況を把握して、「余裕」があるのであれば、自分にほんの少しの負荷をかけておくのです。長期的に見ればその小さな負荷の積み重ねがさらに大きな「余裕」となって自分を助けてくれます。



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