190926 生産技術エンジニアが目指す21世紀の働き方

今回は「生産技術エンジニアが目指す21世紀の働き方」というテーマで話をします。
過去5年くらいで生活は大変便利になりました。技術革新とデジタル化により、ますますグローバル化が進んでいます。距離や時間の壁は、徐々になくなりつつあります。ところが、生産技術の現場では、いまだに昭和の働き方をする人たちが大勢います。今回はそんな事例を紹介します。

非効率な働き方事例1) グローバル化の歪に苦しむ技術者

日本の製造業界の大手企業は、国内の高い人件費を理由に海外に工場を構えています。本社を日本に構える会社は、日本で準備した設備を海外に送り出します。現地に出張して設備の立ち上げを行います。あるいは現地で量産ラインの改善活動を行います。

設備が故障した場合や動作がおかしい場合、生産技術エンジニアであれば原因を突き止めて解決できなくてはなりません。少なくともどこが問題になっているかぐらいは特定できるスキルを持っていなくてはなりません。ところが、現実はそうではありません。その人のスキルにもよりますが、私の見る限りでソフト関係の問題になると8割の生産技術エンジニアは設備の設計者に電話やメールで問い合わせを行います。具合が悪いときは遠隔でパソコン画面を共有して、内部のプログラムをデバックしてもらっています。

この事例の問題は、生産技術エンジニアであるにもかかわらず、電気回路やプログラム制御を理解していないことです。近郊に取引先がいるのであれば、ちょっと見に来てもらうということもできますが、外国にある設備はそうはいきません。こんな働き方をこの先続けていくのは無理があります。生産技術エンジニアとしての価値がありませんし、仕事のやり方も完全に他人に依存しているので効率化することができません。


非効率な働き方事例2) 外国人とコミュニケーションを取らない技術者

これもおかしな事例ですが、一定の割合でこういう人が存在します。
海外に出張に来て、一言も現地人と会話ができないエンジニアです。たまたま一緒に来た出張者に通訳してもらったり、駐在員を捕まえて通訳してもらう人達です。

別に上手に英語ができなくてもよいのですが、話す努力を全くしていません。誰でも最初はうまくできないのですが、うまくできない自分を他人に見せたくないのでしょう。そもそも、「なぜ出張を引き受けた」という疑問すら持ってしまいます。 自分がどういう状況になるかは、出張に行く前に予想できたはずです。出張に行くなら、話す努力をする。話す努力ができないのであれば、出張に行かない。こちらの方がいたってシンプルな考え方ではないでしょうか。

上述した通り、ずいぶん前から製造業界はグローバル化にさられています。製造業界で働いていきたいのであれば、必要条件として外国語の習得に励むべきだと思います。


非効率な働き方事例3) 無駄なデータまとめをひたすら続ける技術者

2つ目は、データまとめです。これも問題を分析するためには、ある程度必要な作業です。社内に便利なシステムがあれば避けることができますが、そうでない場合は、このデータまとめにかなりの工数がかかります。私は、この単純作業を改善したかったのでマクロを組みました。自動化できる部分は自動化してしまえば、浮いた時間を別の仕事に割り当てることができます。

ところが、このデータまとめ作業に毎回時間をかけてやっているエンジニアは大勢いました。このやり方を続けると、仕事の幅は広がりませんし、生産性も上がりません。そもそも、客観的にやっている仕事内容を見れば、学生のアルバイトでもこなせるような仕事です。

雑務を完全になくすことはできないかもしれませんが、仕事の密度を高める工夫をしなくてはならないということです。ただの作業になっているだけの仕事は、可能な限り効率よく処理する方法を考えなくてはなりません。



非効率な働き方事例4) 何か問題があれば本社に頼る責任者

3つ目の事例です。海外拠点で部長職をしていた人物の話です。生産ラインの問題があると、彼がとる行動は日本に依頼してエンジニアを派遣してもらうことでした。3年ほど赴任していましたが、最初から最後まで彼はこのやり方を変えませんでした。というより、部長職としては失格者でした。

部長職の仕事は人員を採用して、現地の組織を強くすることです。いつまでも本社に頼ることではありません。権限を持っていながら組織を変えることができない人物は、部長職に就くべきではないのです。時には滞在日数2日という出張者もいました。とはいえ、そういう時に来る人物は、それほどスキルが高いわけでもありませんでした。高い航空券と人件費をかけてやる仕事ではありません。派遣される方も、そんな仕事に振り回されるのは嫌なはずです。

本来目指すべき働き方

上記のようなやり方は21世紀の働き方ではありません。 生産性を高めて効率よく仕事をすることが、21世紀の働き方です。専門スキルや高度な判断は必要とされますが、そういった学ぶということに積極的にリソースを投入し、仕事の生産性を挙げることで、トータルで考えると仕事に費やす時間を大きく減らすことが可能になります。
これが理想とする考え方であり、働き方です。


※関連記事)後輩社員への仕事の見せ方(理想論は行動で示す)
※関連記事)生産技術エンジニアが仕事の幅を広げる方法