200316 生産技術者が転職するメリットとデメリット
今回は「生産技術者が転職するメリットとデメリット」というテーマで話をします。仕事内容やキャリア形成については、別記事で紹介してきましたが、今回は転職にテーマを絞って話をします。
なお、給料、労働条件、福利厚生、役職などの生産技術に関係ない部分については、議論の対象外とします。純粋に生産技術の仕事に的を絞った転職の話をしていきます。
【目次】
- 生産技術者の転職とは
- 転職のメリット
- 生産技術者としての視野が広がる(他社の生産ラインを経験できる)
- 生産技術者としての技術力を客観的に認識できる
- 転職のデメリット
- 製品の仕様が大きく変わる
- 設備仕様が大きく変わる
- その他に生産技術者の転職時に検討しておくべきこと
- 製造現場や関連拠点
- 将来の設備投資状況
生産技術者の転職とは
他の記事での紹介しているとおり、専門性を高めれば生産技術という仕事は汎用性が高い職種だと考えています。
工程設計、設備仕様、生産性改善などの業務はどんな生産ラインでも基本的な考え方は同じだからです。
さらに過去5年ほどの転職市場での動向を見ても、生産技術エンジニアは不足しています。日本国内の高齢化や人材不足の状況も踏まえて、供給に対して数倍の求人があると言われています。
以前私が勤めていた会社でも、中堅のエンジニアの募集をしていましたが、採用には苦労している印象でした。
転職に何を求めるかによりますが、生産技術エンジニアで立派な実績があれば、仕事には困らないでしょう。
転職のメリット
それでは、具体的な転職のメリットについて紹介していきます。
生産技術者としての視野が広がる(他社の生産ラインを経験できる)
会社によっては優れた生産ラインを構築しています。そういった会社に勤めて自分の技術力を磨くという点では、転職は良い機会になります。
私も転職前は他社の生産ラインが気になっていました。他社の生産ラインを見て勉強したいと思ったときは何度もありましたが、他社の生産ラインを見学できる機会はほとんどありません。取引先の設備製作会社が、他社向けに製作している設備を見かけるくらいでした。
私が過去に見た社外の事例を少し紹介します。
例)機種段替えを数十秒で行っている会社もありました。
例)圧入とカシメを1つのサーボプレスで、ほぼ同時に行う事例もありました。
例)20工程以上ある生産ラインを4名ほどで生産しているラインもありました。
例)部品構成や製品構造が全く異なる多品種少量生産を手作業工程でミスなく実施できている生産ラインもありました。
他社の生産ラインに興味がある人には興味深い機会になります。
生産技術者としての技術力を客観的に認識できる
なかなか同じ会社にいると自分のスキルというものは、客観的には認識にしにくいものです。
長年勤めれば、人脈もできます。製品や生産ラインの過去の背景もわかります。
自分の純粋な実力以外の要素が味方してくれるおかげで、仕事がやりやすいものです。
転職すると完全に実力勝負になります。
まずは、採用面接の段階で、自分の実力と専門性を証明しなくてはなりません。これが最初のハードルになります。
続いて、入社した後に次のハードルが待っています。社内の人脈もなければ、インフラも整っていません。製品や生産ラインについての細かい情報はなにも持ち合わせておらず、自分の力だけですべての課題に取り組まなければなりません。
おかげで行動力が養われます。孤独やプレッシャーに耐えられない場合は負荷になります。
転職のデメリット
続いて転職のデメリットを紹介します。
製品の仕様が大きく変わる
生産技術エンジニアにとって設備仕様、工程設計、生産性改善が主な仕事内容ですが、これらの要素は製品設計に大きく依存しています。同じ業界の競合にでも転職しない限り、取扱製品は大きく変わります。その結果、生産技術の仕事内容も多少なり影響を受けます。
設備仕様が大きく変わる
会社によって方針や設備仕様が違います。
設備に使用している機器なども変わるうえに、未経験のソフトウェアを使用しなくてはならなくなります。
例えば、PLCやカメラのメーカーが違うことによる操作性の違いです。
その他に生産技術者の転職時に検討しておくべきこと
簡単にメリットとデメリットを紹介しましたが、他にも注目しておくべき点がありますので紹介します。
製造現場や関連拠点
転職先の会社の製造拠点がどこにあるのかは事前によく確認しておくべきです。
生産技術エンジニアの職場は生産ラインです。海外拠点があるのかないのか、ある場合はどこになるのかくらいは把握しておいた方がよいでしょう。入社後にその拠点に長期で出張したり、駐在する可能性があるからです。
将来の設備投資状況
続いて将来的な設備投資の予定についてです。簡単に言えば、事業が拡大しているのか衰退しているのかということです。
事業が拡大している場合は、仕事は忙しくなりますが設備投資が増え、仕事のやりがいは増えます。
参考書籍) 生産技術の教科書Ⅳ
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