200410 生産ラインの稼働率指標OEEについての概略紹介

今回は「生産ラインの稼働率指標OEEについての概略紹介」というテーマで話をします。生産技術エンジニアをしていると、生産ラインの生産性に対して正しく理解しておかなくてはなりません。生産ラインの生産性を高めるためにも今回はOEEの概略を紹介します。

生産ラインの設備総合効率OEEとは

OEEとはOverall Equipment Effectivenesといって、生産効率を可動率(Availability)、性能(Performance)、品質(Quality)で定義しています。

計算式は OEE = 可動率 × 性能 × 品質 となります。

どこの会社でも生産ラインの性能を測る指標として用いていて、85%が一般的な目標値になります。以前私が勤めていた会社では5%の可動ロス(始業点検等のロス)、5%の性能ロス(設備停止や故障)、5%の品質ロス(ラインの不良率によるロス)として、85%をターゲットとしていました。

参考)生産能力の計算

OEEの具体例紹介

具体例を1つ紹介します。
6:00-7:00の時間帯に次の表のような結果だったとします。 このときの可動率(Availability)は100%で、全くライン停止時間がなかったことになります。 性能(Performance)については92.8%でわずかに計画未達です。 品質については2台不良品として落ちていて、98.8%の達成率です。
これら3要素から算出したOEEは91.7%となります。 このように、OEEを分析すると何が原因でロスしているのかわかりやすくなります。


この事例では、高いOEEが達成できていますが、実際の生産ラインではこのようにはいきません。量産して数年経つ生産ラインでもOEEで安定して85%を維持することは簡単ではありません。 OEEを悪化させる要因と対策についていくつか紹介します。

OEE改善1)品質ロスの要因と対策

まずOEEの品質要因です。
これは別記事でも紹介していますが、廃却金額換算で不良率1%以下がラインの目標です。 OEE上の品質ロスが5%を超える場合は、生産ラインの不良率を改善しない限り生産数は上がりません。

不良項目については、設備要因、部品要因、設計要因、作業要因などそれぞれの不良内容によって効果的な対策を進めるしかありません。

参考)パレート分析FTA分析


OEE改善2)可働ロスの要因と対策

2つ目はOEEの可動ロスです。
これは可動時間内で生産に使用できない時間のことになります。
例えば、始業時の点検作業の時間は生産に使用できない時間にあたります。他にも、全体集会がある場合や毎日の朝礼時間が可働時間内に実施される場合は、ロスの原因になります。

一方で、計画的な停止時間(例えば休憩時間)に設備を稼働させることで、その日に発生したロスを一時的に埋め合わせることも可能です。週末に生産する場合も同じ理由で可動時間を稼ぐためです。


OEE改善3)性能ロスの要因と対策

3つ目が性能ロスです。
OEEのロス要因のなかでもっとも生産技術エンジニアにかかわりのある項目になります。この性能ロスとは、多くの場合が設備のチョコ停やダウンタイムによる停止時間ロスになります。設備が安定稼働できないことにより発生するロスになります。

生産技術エンジニアにしてみれば、頭が痛くなるような話かもしれませんが、いくつかポイントはあります。OEEを落とさないためにはボトルネック工程に注目することです。他の設備が多少不安定だったとしても、ボトルネック工程さえサイクルタイム通りに安定稼働してくれれば、アウトプットはそこまで悪化しません。
ネック工程の稼働率に注目し、ネック工程のロス(設備停止など)を可能な限り少なくすることです。また、設備停止がなくても設備が遊んでいるようではアウトプットがあがりませんので、ネック工程の設備が手待ちにならないように、前工程からの部材を投入し続けることです。


生産ラインのOEEを高めるポイント

最後にOEEを高めるポイントを紹介します。
OEEが安定するまでは毎時間ごとに計画に対する生産実績を記録することです。そして、未達の原因が何なのかを記録しておくことです。1日のうち計画を達成できる時間帯を数回でも作ることから始めます。その目標を達成できると、徐々に原因と改善ポイントが見てきます。

設備停止が多いのか、ライン内の物流の問題なのか、不良率の問題なのか、可動時間の問題なのか、それとも他に要因があるのか、データを取って問題を細かく分析していくと少しずつアウトプットがあがってきます。



以上、簡単ですが生産ラインのOEEについての概略を紹介しました。

関連書籍) 生産技術の教科書Ⅱ
関連書籍) 転職サラリーマン
参考)生産能力の計算


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