200418 海外工場でのメンテナンスエンジニアの働き方紹介
今回は「海外工場でのメンテナンスエンジニアの働き方紹介」というテーマで話をします。生産技術をしていると設備のトラブル対応を処理することが頻繁にあります。どこの会社でもトラブル対応のためにメンテナンス部隊をそろえています。今回は日本と海外での働き方や意識の違いを紹介します。
設備故障の対応とメンテナンスエンジニアの仕事
生産のシフトが増えて24時間稼働になると、設備故障という問題が生産を左右する大きな要因となります。現場の製造メンバーも簡単な設備操作くらいはできますが、設備の深い部分になってくると対応できません。
そこで、製造現場にはメンテナンス部隊が存在します。日本では保全と呼ばれる部署です。名前はメンテナンスといっても、やっていることは設備の問題対応です。例えば、設備のチョコ停発生時や不良率が多いときに設備側での小手先の対応をします。
週末など設備が稼働していないときに設備の具合の悪い部分を修繕したり、消耗部品の交換を行ったりしますが、メインの業務は現場対応です。生産シフトに合わせて勤務するため、メンテナンス部隊もシフトを組んで対応します。
問題が少ない生産ラインを担当して暇そうに過ごすこともあれば、完成度の低い生産ラインを担当することになって設備の対応に追われるメンテナンスエンジニアもいます。設備の問題対応をするという点では生産技術エンジニアと仕事内容は似ています。
海外でのメンテンナンスエンジニアの考え方
日本と海外での働き方や考え方の違いをここから紹介します。
例えば、夕方になって設備故障が起きたとします。
日本での考え方は、設備が復旧するまで残業して対応するだと思います。メンテナンスエンジニアがシフト勤務制で引継ぎ要員がいたとしても、前シフトのメンテナンスエンジニアが問題の目途が立つまで残業して対応します。生産技術者が問題対応している場合は、同様に残業して対応します(生産技術者はシフト勤務ではないので・・・)。
諸外国でも一般的にはこの考え方で働いています。
ところが、国や会社方針によっては少し違う場合もあります。
そこでの事例を紹介すると、メンテナンスエンジニアは現場作業員と同様に基本的には残業をせず、時間が来たら仕事を引き継いで帰宅するのです。小さな問題であれば引継ぎ可能ですが、生産ラインが停止しているような状態でもそのまま帰宅するのです。最初は大きなカルチャーショックでしたが、いろいろと背景や考え方を理解すると納得するようになりました。
給与による責任の違い
その国、会社では実務レベルのメンテナンスエンジニアの役割はあまり評価されていなかったのです。実際にはエンジニア職扱いでもなかったのです。彼らの給料は製造現場で働く作業員とたいして差はないのです。簡単に言えば、簡単な作業レベルの役割しか求められていない扱いで採用された人がほとんどです。個人の作業机もなければ、設備予備品などの物の購入権限もありません。
一方、事務所で働くような生産技術者と呼ばれる人物は、人によっては全く仕事をしないにもかかわらず好待遇なのです。給料にして5倍以上の差があるのです。やっている仕事の割には理不尽だと思える状況でした。この事実を知った後、私の考え方は少し変わりました。設備の故障を直せないメンテナンスエンジニアが悪いのではなく、もともとそういった要件で採用していない会社側の責任だったのです。
メンテナンスエンジニアの中には優秀に仕事をこなす人物もいました。そういった人物は評価され給料は徐々にですが増えていったようです。事務所の生産技術者よりもはるかに仕事をこなす人物もいましたが、それでも待遇面では真逆なのです。
日本では、ここまで大きな所得格差はありません。日本の所得感覚ではなかなか理解しがたいかもしれません。工場の事務所勤務であろうが現場作業員であろうが、5倍以上の給料の差は存在しないはずです。似ている事例を挙げると、正社員と非正規社員の違いでしょうか。資本主義の悪しき既得権ともいえるこういった習慣は不平等ですが、社会の中にまだまだ存在しています。
以上、簡単ですが海外工場でのメンテナンスエンジニアの働き方について紹介しました。
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