200511 生産技術分野で変わっていく技術と変わらない技術

今回は「生産技術分野で変わっていく技術と変わらない技術」というテーマで話をします。 技術革新の変化が激しい現代では、常に新しいことを学び続けないといけないというプレッシャーがあります。変化のスピードと学習スピードが一致しない場合は、せっかく学んだ事柄が時代遅れになってしまいます。一方で、技術革新が進んでも不変的な事柄があることも事実です。

生産技術分野での必要な技術

まず、生産技術や製造業界で必要な技術をあげてみます。
生産技術の仕事内容で紹介している項目になりますが、
生産技術の仕事全般では、機械製図、CAD、空圧機器や配管図、電気配線図、制御機器、工程設計、問題解析、現場改善です。

個別技術を細かくみていくと、圧入、カシメ、半田、溶接、絶縁特性、ネジ締め、電磁気特性などです。

設備案件を細かくみていくと、PLC、カメラ、多軸ロボット、その他の制御機器です。

生産技術分野で変わる技術

まず、変わっていく技術を見ていきます。
上述した項目の中で技術革新が進む分野は、設備要素である制御機器と製図ツールであるCADです。これらはパソコンの性能が進化するのと同じように、徐々に性能があがっていきます。メーカー変更などの要因や新製品の登場で、基本仕様が大きく変更する場合は、新しく使い方を学習する必要があります。

ちまたでは産業の壁を越えてIT化が進もうとしています。
製造業界にもこの流れはすでに来ています。設備の自動化やIT化です。多軸ロボットや自動搬送を導入して、これまで人がやっていた作業を機械化したり、在庫管理や経理情報をシステムで自動管理するやり方です。 この流れは、ますます加速していくと思われます。

生産技術分野で変わらない技術

つづいて、変わらない技術を見ていきます。
上述した項目の中で変わらない技術は、溶接や圧入などの個別技術や機械製図、工程設計、問題解析、現場改善などの考え方です。

圧入、カシメ、半田、溶接、絶縁特性、ネジ締め、電磁気特性などは基礎工学・物理学に基づいていて、過去から現代にいたるまで不変の事柄です。圧入に使用する機器が、油圧プレスであろうが、サーボプレスであろうが、圧入という工法は同じです。少し制御可能な部分が増えたり、外部に取り出せる情報の精度が向上するとしても、やっている圧入動作は同じです。

機械製図、工程設計、問題解析、現場改善などの考え方についても不変の事柄になります。設備の自動化やIT化が進んだとしても、製図自体の仕組みが変わることはありませんし、現場の問題解析をする手法も変わることはありません。

たまに訪れる変化を予想する

もし余裕ができれば、外部環境の変化にも注目すると、今後どんな分野を学習すべきことも見えてきます。

  私が過去に見てきた事例)
  • IT化-- >各設備へのパソコン導入 (PLCとの通信仕様の学習)
  • カメラの低価格化--> 設備へのカメラ導入(カメラ判定の仕組み、機器操作方法の学習)
  • 排気ガス不正などの社会問題 --> TSルールの改定・IATFへの変更 (新しい要求事項の学習)

たまに大きな変化が訪れます。
例えば、3Dプリンタは革新的な成型技術です。この技術が量産性を持つようになれば、従来の機械加工機や樹脂成型機が不要になる可能性があります。


生産技術者がこれから学ぶべき事柄

以上を踏まえて、これから生産技術エンジニアとして活躍される方には何を学ぶべきかという大枠を理解してもらいたいと考えています。上述したように学ぶべき事柄はたくさんあります。自社の仕事でどんな分野の知識やスキルが役に立つかを基準に、上述した項目の中から少しずつ仕事に活かしてもらえればと思います。

仕事に余裕ができてくると、業務全体の効率化や仕事の生産性を高めるために、他部署でやっている仕事に興味をもったり、外国語やマネージメントについても学ぶと、さらに仕事の幅が広がります。



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参考書籍)生産技術の教科書Ⅱ

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