200515 エンジニアリングにおけるに日本語のデメリット

今回は「エンジニアリングにおけるに日本語のデメリット」というテーマで話をします。エンジニアの分野で仕事をしていると、日本語を切り離して考えないといけない事例がたまにあります。今回はそんな事例について紹介します。

グローバルスタンダードの紹介

まず、パソコンOSやプログラミング言語を例に挙げて話をすると、これらの開発はマイクロソフト、アップル、グーグルなどアメリカ企業です。当然ですが、英語ベース(半角英数)で開発されています。
日本でパソコンを使用するときに日本語OSで全角入力がインストールされていますが、これは諸外国で使用しやすいように追加されたオプションです。OSの基本動作に全角入力など出てきませんし、英語圏ではそんなものは存在しません。半角英数のみです。

では、仮に日本がOSの開発をリードしていたとして、日本語前提とした全角入力が基本になっていたでしょうか。そんなことはありません。
日本語利用者が約1億人であるのに対し、英語利用者は約15億人(母国語人口約5億人)といわれています。したがって、グローバルスタンダードを考慮した時は英語(半角英数のアルファベット)対応しないといけないのです。

以上のことから、全角入力という日本語入力はエンジニアリングの世界でスタンダードになりえないのです。日本や外国向けにカスタマイズされた言語入力は文字コードごとに変換されています。日本語で全角入力された場合は、その文字情報に対応する半角英数の文字や記号を組み合わせた情報に変換されてパソコン内部で処理されています。

前置きが長くなりましたが、以上を踏まえて不便な事例を4つほど紹介します。

日本語が不便な事例1(ファイルの圧縮)

以前、海外OSのパソコンを利用していた時の話です。海外のパソコンでも日本語入力の機能をインストールすれば、日本のパソコンと同じように日本語入力できます。

当時、中国の取引先とやり取りがあったのですが、彼らは中国語と英語で対応します(たまに日本語ができる中国人もいます)。 彼らから圧縮ファイルを受け取ると、解凍できなかったり、再度圧縮できなかったりすることが何度もありました。理由はファイル名に中国語が使われているからでした。ファイル名を半角英数に修正すれば問題なく圧縮可能です。
1つや2つのファイルであればよいのですが、ファイルの数が増えると対応不可能です。これは潜在的に日本語にも当てはまります。それまでファイルに日本語を使用していましたが、日本語(全角)でファイル名を付けることをやめました。

日本語が不便な事例2(PLCコメント)

2つ目はPLCの内部コメントです。
これも海外での事例ですが、コメントに半角英数以外の言語がある場合(日本語や中国語)は英語版のPLCソフトでファイル自体が開けない、あるいはファイルが開けても内部のコメントが文字化けしているということがありました。
メーカーによっては内部コメントを複数入力でき、簡単にコメントを切り替えられるPLCもありました。とはいえ、英語版のPLCソフトに言語パッケージをインストールしないといけないようなこともあります。こういった想定外の雑務が嫌だったので、当時の私はPLCの営業担当者に英語版と日本語版のPLCインストーラを両方もらうようにしていました。

日本語が不便な事例3(プログラムコード)

3つ目はプログラミングコードです。
プログラミングをされない方にはイメージしにくいかもしれませんが、内部コードはすべて半角英数です。コメントアウトすれば日本語(全角入力)でコメントをつけることも可能ですが、動作部分については全角入力不可です。
たまに、動作部分内にある全角スペース(目に見えない)が原因で動作エラーを起こすことがあります。コードを見直して、エラーがなさそうな場合でも実は全角スペースが隠れている場合もあります。 全角入力が存在することのデメリットです。
注意深くコードを書けばよいのですが、どうせなら最初から半角英数を使用してエラーの可能性をなくしておけば、変な手間とリスクを減らせます。

日本語が不便な事例4(ファイル共有)

4つ目は日本人にしか理解できないということです。
日本人同士で仕事をしている場合には気にならないかもしれませんが、技術情報を海外のエンジニアと共有しようとしたときに言葉は大きな壁になります。簡単に翻訳できる資料であれば、その場で翻訳することも可能です。ただ、これを毎回やっていると、チリも積もれば・・・の話で、結構な工数になります。それならば入り口に部分で共通言語にしておく方が後々有効利用できます。


エンジニア分野での英語の重要性

先日の記事(生産技術エンジニアに対する英語スキルの必要性について)では、コミュニケーションについて取り上げ、片言レベルでよいという話をしました。

今回の記事で、英語学習の必要性を強調するものではありませんが、グローバルスタンダードから考えると日本語では具合が悪いことがあるという紹介になります。本記事で取り上げた内容は高い英語レベルを必要とするものではありませんので、初級レベルの英語力で対応可能です。職場環境に応じて、仕事のやり方を考えてもらえばよいかと思います。



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