200829 労働時間について(歴史の振り返りと技術革新)

※本記事は書籍「日記という仕事術」の抜粋です。
将来の労働時間や働き方について労働に関する歴史の振り返りとテクノロジーの恩恵をもとに「将来こうなるのでは」という個人的な推測になります。

1.労働時間について

近年日本では働き方改革などといって、生産性を高めて余暇に費やす時間を増やそうとする動きが出ています。サラリーマンの目線で見れば、現実を反映していない政治家の理想論に思えるかもしれません。自分の仕事は減らない現実を受け入れつつ、「何を言っているのだ」と冷めた感情を持っている人がほとんどだと思います。

このテーマについても事実ベースで考えてみます。個別事例を取り上げて一般論とするわけにはいきませんので、ある程度の全体論で話をします。日本全体で考えた場合に、経済成長はすでに止まっています。日本のGDPは約500兆円で過去30年間大きな変化はありません。

会社によっては事業拡大したり、停滞したり、縮小したりといった個別の事例は存在するので、どのグループに所属しているかによって働き方は変わります。成長産業の会社であれば、業務量に対して人手が不足していることが多く、忙しく働くことは理解できます。一方で、業績が停滞や縮小している会社で忙しく働いているということは、簡単にいえば投入工数が空回りしているということです。事業継続が見込めない分野から撤退できていなかったり、無駄な仕事ばかりに時間を費やしているということです。

少し事例をあげます。社内文書の作成に時間をかけすぎたり、不要な打ち合わせが多すぎたり、3日でできる仕事に1週間も費やしたり、残業しなくてよいのに付き合い残業したり、仕事中の無駄話や喫煙休憩などです。深夜の利用者が少ないにもかかわらず、24時間営業しているレストランやコンビニも同様です。はたして、その仕事に価値はあるのか、ということをよく考える必要があるように思えます。



昔の成長時代の名残で長時間働くことが美徳という錯覚を持ってしまっているような気がします。ところが、現実を見ると長時間労働しているのは日本くらいです。ヨーロッパでは随分前から週35時間労働になっていて、長期休暇は2週間の単位で取得しています。 にもかかわらず、日本よりも高い生産性を維持しています。諸外国の人は、基本的に残業をしません。どうしても必要な場合やもっと仕事をやりたい人は一定人数いますが、日本の会社員ほどの比率ではありません。こういった事実からも日本の働き方が、いかに無駄が多いかということを判断できるはずです。

2.会社での働き方について

もう1つ仕事に関する話題を取り上げます。普段の仕事ぶりをイメージしてもらいたいのですが、朝会社に行って朝礼に参加して、昨夜のメールの確認をして、その日の仕事に取り掛かります。長期でやっている仕事であれば昨日の続きを、新しい仕事がある場合はその仕事に取り掛かります。途中で電話が鳴ったり、メールが届いたり、会議の招集があったり、上司につかまったりして、気が付いたら夕方になっている。忙しいと思いながら、そんな毎日を過ごしているはずです。

この事例についても事実ベースで考えていきます。1日の勤務時間内で本質的な仕事をしている時間はどの程度ありますか?2~3割ではないですか?私は会社勤めをしていたころ、かなり効率を意識して仕事をしていたつもりですが、3割以下でした。

一方で休日出勤するときや自宅で仕事をするときは、8割程度の効率で仕事ができていました。 休日出勤するときは、できるだけ早い時間に出勤して、仕事が終わり次第帰宅していました。朝6時に出社することもありましたし、遅くても7時までには出社していました。休日出勤のメリットは周りに誰もいないということです。休日に事務所が騒がしくなると、会議室にこもったりしていました。平日でも自分の時間が確保できないときや周りが騒がしいときは空いている会議室に行っていました。
何が言いたいかというと、普段の仕事で感じていることの多くは無駄であるということ、仕事の本質とは時間を費やすことではないということです。

まず、1つ目の「無駄な仕事」の話をします。無駄な仕事の代表例が、電話対応、メール、打ち合わせ、上司の相手です。この中で緊急を要する案件が、どの程度あるか考えてみてください。やっている仕事を中断して優先させなければならないような緊急の電話対応、メール、打ち合わせ、上司対応です。ほとんどないはずです。仮にその対応が翌日になったとしても、たいてい何の影響もないはずです。※部長職や会社役員の場合は除きます。

ところが、大勢の人はやっている仕事を中断して、そういった重要でない対応を優先させています。「完全に無視しろ」ということではありません。例えば、そういった雑務の対応を帰宅前の1時間で終わらせるとか、やっている仕事が何かの理由で中断して進捗しないときの空き時間に対応するとか、打ち合わせをキャンセルして、打ち合わせに参加した人からあとで情報だけ教えてもらうとか、うまい時間の使い方はあるはずです。この事実を正しく理解しないと、いつまでたっても仕事が終わらないという不毛なサイクルから抜け出すことはできません。

電話、メール、打ち合わせ、上司の相手を完全に否定するわけではありませんし、完全に無駄だというつもりもありませんが、本質的な仕事の成果を上げる仕事とそうでない仕事の割合の問題です。せめて投入時間の5割くらいは本質的な仕事の時間にあてたいものです。


続いて2つ目の「仕事の本質とは時間を費やすことではない」という話をします。会社員は時間と労働力を売って給料をもらうという雇用形態と考えられがちですが、これでは学生のアルバイトと同じです。プロフェッショナルな人達は、費やした時間ではなく、そのアウトプットで評価されるべきです。自分の職業がプロフェッショナルよりのものなのか、アルバイトよりのものなのかを自分で考えてみてください。

先ほどの電話対応、メール対応、打ち合わせ、上司の相手は本来の仕事の成果ではないはずです。仕事を達成するための手段です。ところが、その手段にばかり注意が向いてしまい、本来やるべき仕事ができていない印象です。 少しわかりやすい例をあげると、先述した休日出勤の事例です。このときは電話、メール、打ち合わせ、上司の対応などは全くありません。土曜日1日費やすどころか、半日もあれば平日1日分以上の成果が出せます。 こういった事実に気付くようになると、普段の働き方が変わってきます。

3.現代の生活習慣について

過去10年ほどで生活は大変便利になりました。インターネットの普及やスマートフォンによって、何でもできると思えるような生活環境になっています。情報コストはほぼゼロになっています。何かキーワードを打てば、インターネット上に情報は無料で転がっています。個人で発信できるようになり、他人との距離はますます近くなっています。

便利な生活になった一方で、偽情報の氾濫や誘惑が溢れていることも事実です。本人が気付かないうちに自分が損をしているような状況も起きています。会社員の働き方で取り上げたように、よく考えれば異常であることを正常と認識してしまうのです。

スマホ依存症は社会現象にもなっていますが、暇さえあればSNS、チャット、そのほかのエンターテーメントに利用している人たちは大勢います。暇をつぶすには便利なツールです。ところが、暇つぶしをしているという認識を超えて、依存症になっている人が大勢います。現実逃避するには格好のおもちゃなのかもしれませんが、正しい使い方はツールです。正しく使いこなさなくてはなりません。使い方を間違えば、アルコールやタバコのように健康を害する結果になってしまいます。


こちらも事実ベースで考えていきます。スマートフォンで情報を探すのに必要な時間はどの程度でしょうか。個人的には10分以下で十分と考えています。専門的な情報であれば、もっと時間をかける必要がありますが、スマホいじりをしているほとんどの人は、そんな専門的な情報検索などしていないはずです。ニュース記事を流し読みするにも10分程度かければ大体内容は入ってきます。

1日30分もあれば必要な作業は終了するはずです。ところが、現代人がスマートフォンに費やす時間は平均3時間といわれています。目的があって費やす3時間であればよいのですが、暇つぶしの3時間であれば時間の無駄以外の何物でもありません。24時間のうちの3時間というのが、どれほど貴重な時間であるかは1つ前の働き方の事例を考えれば理解できるはずです。

なかには、仕事中にスマホをいじりだす人もいます。情報端末がポータブルになったおかげで、どこでも情報にアクセスできるようになり大変便利ですが、これは完全に使い方を誤った事例です。先述の仕事中の阻害要4要素(電話、メール、打ち合わせ、上司の対応)に追加してスマホという第5の阻害要素を自ら作り出しているのです。これでは仕事がはかどるはずはありません。 おそらく本人は依存症や誘惑に負けているという認識を持っていないのだと思いますが、客観的に見ると完全な依存症です。



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