201205 面倒なことを部下に丸投げする人物

今回は「面倒なことを部下に丸投げする人物」というテーマで話をします。自分の後輩の入社などで部下を持つようになると、人格が見える場面があります。「部下の扱い方が本人の性格を語っている」と感じる場面がありますので紹介します。

閉じた組織内での権力構造

本人の性格が一番わかりやすい事例が社内での振る舞い方です。
社内は閉ざされた組織で、暗黙の上下関係が存在しています。特に新入社員は完全に教わる側の立場になるので、上司や同僚の指示には絶対服従になりがちです。若手社員がいない場合でも、中間管理職になって部下を持つようになると、自分の部下に対して仕事の指示を出すことができます。

日本では終身雇用が背景にあるおかげで、同僚との同調圧力が強く、自分が我慢してでも「嫌なことには耐える」という変な雰囲気が漂っています。自分が上司側になれば、その立場を利用できるものの、自分の上司がとんでもない人物になった場合は自分がその犠牲者になります。

上下関係でありがちな勘違い

自分に部下(あるいは新入社員)ができると、自分が部下のすべてをコントロールできると勘違いする人物がいます。人格的に未熟といわざるを得ないのですが、世間のパワハラの事例がこのタイプだと考えています。自分が権力を手にしたと錯覚して、それを濫用するのです。いくつか事例を紹介します。


性格が見える事例1)他部署へ依頼の仕方

会社で仕事をする場合、他人から必要な情報を出してもらわないと仕事が進まないことがほとんどです。
私の場合は生産技術をしていたので、製品開発部からの製品図面や仕様をもとに仕事をします。不明点があれば、開発担当者と協議することもありました。設備の検証作業で使用する部品の準備に関しては購買部の担当者と話をしていました。

場合によっては、他部署の担当者が自分よりもはるかに年下の場合もあります。仕事をする上で年齢は関係ないので、年齢を気にする必要などないのですが、人によっては気にするようです。 「年下の若手担当者に依頼するのが恥ずかしい」と感じる人がいます。「なんで私がそんな人物を相手にしないといけないのだ」と心の中で感じているのだと思います。

自分が仕事をする上で必要な情報なので、相手に関係なく直接やり取りすればよいのですが、できないようです。そんなときにどうするかというと、「部下」に問合せさせるのです。 これは、ただ自分がやりたくないことを部下に押し付けているだけです。

性格が見える事例2)交渉事の処理

2つ目が部署間の調整です。
関連部署に必要な情報を展開して了解してもらうことが仕事を円滑に進めるための第一歩です。ところが、組織が肥大化すると変な派閥争いの形相になり「政治」のやりとりになってきます。いわゆる大企業病です。

例えば、私の仕事の事例で話をすると、製品開発部は生産技術部に対して設計DRを開催しなくてはなりません。生産技術は製造部に対して工程DRをしなくてはなりません。これは簡単に言えば、製品の検証結果や生産ラインの検証結果を説明して、下流の担当部署に仕事を引き継いでもらうための承認プロセスです(なかにはこの承認プロセス自体存在しない会社もあります)。

良質な仕事のやり方とは、「自分の仕事の品質を保ち、相手に説明責任を果たすこと」だと考えています。その相手が社内であろうが、社外であろうが関係ありません。必要な情報を展開しないと相手に理解してもらえないし、相手の協力を得ることもできません。


本来自分が担当している仕事に対しては、自ら説明を果たすべきです。ところが、人によってはこれができないようです。特に、相手が面倒な人物の場合は顕著に避けようとする様子が見えます。

そんな時に彼らがどうするかというと、部下に雑用を押し付ける感覚で、その面倒な相手との調整作業をやらせるのです。部下を利用することで苦手な相手と直接話をしなくて済むわけです。甚だしい権力乱用と職務放棄に思える行為です。

意外にも社内の方が仕事がやりにくいという事実

そんな状況を何度も見ていると、「社内の仕事の方がやりにくいそうだな」と感じます。 社外の取引先相手であれば、対等以上の立場です(営業部門は除く)。相手との「変な政治抗争」もありません。年齢の問題もありません。

一方で社内の場合は、自分の見栄を守ろうとする変な意識を持つ人が一定数存在します。自分の支配が及ぶ範囲でのみ躍動して、支配が及ばない範囲のやり取りは他人に任せるタイプです。
そんな人たちが集まると、できる仕事の範囲は小さくなる一方で、大きなこと・新しいことに挑戦できるはずがありません。

組織の規模が大きくなると一定数こういう人たちは存在します。そしてこういう人たちが優秀な社員の足を引っ張り、モチベーションを低下させるのです。会社や仕事内容に魅力があっても、こういった変な人材が同僚になると、一気に仕事がつまらないものになってしまいます。
さらに残念なことに、いまの日本の法律では簡単に従業員を解雇ができないせいで、そういう社員と共存せざるを得ないのです。



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