200607 会社という環境では専門性を磨けない場合もある

今回は「会社という環境では専門性を磨けない場合もある」というテーマで話をします。少し厳しい話になるかもしれませんが、客観的にみた現実を可能な限り描写してみます。

専門性を磨けない状況1(外部委託)

会社という環境は時間とコストを意識して結果を求めていきます。
どこの会社でも商品やサービスを顧客に提供するという構造で成り立っています。商品やサービスのすべてを自社で準備するわけではありません。必要な部分は外注することがほとんどです。

例えば、金融インフラの改善を目指して大手銀行に就職したものの、実際には外部業者に発注する仕事しかなかった・・・などの場合です。自社で開発組織を抱えるより外部から購入した方がメリットが大きいと判断した場合は、その業務自体が社内に存在しません。

このような場合では、希望する専門性を磨くことはできません。


専門性を磨けない状況2(人選)

就職した会社でやりたいことができる環境があり、めでたくその部署に配属されました。ここでも新しいハードルが待ち受けています。それは人選の問題です。

仕事と人材をうまくマッチングさせることができればよいのですが、これは社内での実績や仕事の難易度、そのときの職場の状況など多くの要素をもとに決定されます。

必要条件として、仕事をこなせる実力があることです。「職場で専門性を磨きたいので今は何もできません」という人に仕事を任せようと考える人はいません。これは社内でも社外でも同じです。5キロのジョギングができない人物にフルマラソン参加という仕事は任せられないのです。

仕事においても品質・コスト・納期の縛りがあります。決まった時間内で成果を出すことが求められる環境下では、この3つのバランスを意識して仕事が進みます。

したがって、「職場にいれば自然に専門性が磨かれる」というのは勘違いです。出番が来た時にいつでも実力を発揮できる準備をしているプロフェッショナルでなければ、そもそも出番自体が回ってこないのです。自社の商品やサービスを顧客に営業するのと同様に、自分自身の専門性も社内で営業しておかなくてはならないのです。

専門性の高い職場の魅力

それでもそういった環境に所属すること自体にはメリットがあります。周りにエキスパートがいて、刺激を受ける環境だからです。他人を見本にして自分を高める活動に磨きをかけることができ、互いに協力することで弱みを補完することもできます。組織としてさらに大きな力を生むというわけです。

一方で、モチベーションが低い人には残酷な状況にもなります。自分のできない分野で後輩が実力をつけた場合、その分野に手を出しにくくなるようです。できない自分を恥ずかしいと感じて、その分野を避けてしまうのです。こうなると、できない仕事はいつまでたってもできないままということになります。


専門性を磨けない状況3(事業活動)

先述の2つの状況をクリアした状況(希望部署に配属されて、実力をつけた人物)とします。ここで3つ目の壁が立ちはだかります。それは会社の事業活動・方針です。

上述の金融インフラの例で話をすると、新規インフラ構築と既存のインフラの維持では求められる仕事レベルが大きく違います。高い専門性が磨かれるのは、もちろん前者です。インフラ構築の仕事がしたかったのに、やっているのは既存インフラのサービス業務の仕事しかなかった・・・ということもあります。結果的に、専門性を高められる環境ではなかったということになります。


こういった事業活動や会社方針は個人レベルで変えられる状況ではありません。
※やりたいことを実行できる地位にいれば多少自分の考えを反映することは可能ですが・・・


まとめ

専門性を磨くための要因を3つほど紹介しました。個人の努力が大前提になりますが、会社に所属したからといって専門性が身に付くわけでもありません。専門性を高めたいと希望する人にとっては、上述した環境要因は大きな要素になることは事実です。専門性を磨ける環境をよく分析する必要があるということです。



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