200220 サラリーマンが勉強しない理由を考える
今回は「サラリーマンが勉強しない理由を考える」テーマで話をします。
「学ぶ」という行為が人生の中で重要なことだとは誰もが認識していると思います。ところが、これを実践できている人は非常に少ないものです。別記事でも紹介している通り、日本のサラリーマンは勉強しません。そこで今回はサラリーマンが勉強しない・できない理由を考えてみました。
いくつか理由はあると思うのですが、その中でも「時間がないから」という理由が、大きいと考えています。「何を分かり切ったことを、いまさら…」と思うかもしれませんが、かなり確信を突いているのではないかと考えています。以下その理由を説明します。
勉強しないサラリーマンの現状とその理由
世間には勉強しないサラリーマンが溢れています。
できる仕事だけをこなし、できない仕事に挑戦しようとしない人達です。
子供が親の言うことを聞かないように、人は他人の言うことを素直に聞くものではありません。「能力が足りないから、もっと勉強しろ」と言って物事が解決するのであれば、世の中はもっと良くなっているはずです。勉強しない構造的な要因があるはずです。
勉強しない理由1 終身雇用制度
サラリーマンが勉強しない理由の1つ目が、雇用が保証されていることです。
会社の指示に従っていれば定年まで安泰というのが従来の考え方でした。上司の指示さえ聞いていれば、会社が人生の面倒を見てくれるので自分の人生の心配をする必要はありません。一方で会社の保証がない職業、例えば作家、スポーツ選手、経営者などは自分のスキルを磨いて自分で生きていく手段を身につけなければなりません。従って、サラリーマンでない彼らは勉強に励みます。
勉強しない理由2 時間に余裕がない
サラリーマンが勉強しない理由の2つ目が、時間がないこと(あるいは自分で時間を作り出せていないこと)です。
もし彼らが勤務時間中に勉強してよいというのであれば、勉強する人は増えるのではないかと思います。
そこで、今回はサラリーマンの時間配分を分析してみます。
サラリーマンが持つ自由な時間
一日会社に拘束される時間を10時間(8時間勤務、1時間休憩、1時間残業)とします。
※実際には通勤や前後の準備なども必要なので、12時間とします。
睡眠時間を7時間とします。
食事など、その他生活を営む上で必要な時間を1.5時間とします。
残りの時間は3.5時間になります。
この3.5時間をどう考えるかによるのですが、ほとんどの人が満喫するはずです。
3.5時間は自分が完全に自由になる時間なので、働いた疲れをいやす余暇の時間として使用しているはずです。テレビを見たり、趣味を楽しんだり、家族と過ごしたり、お酒を飲んだり、仕事から解放されて「自由な時間」を楽しんでいるはずです。
1日働いた後で「さらに勉強しろ」などと言われても、ほとんどの人は勉強などしないはずです。
つまり、「時間」の要素が大きいのです。
もし仕事をしていない場合
次に仕事をしていない人の場合を考えます。
定年退職者、無職の人、主婦、刑務所の囚人などです。
彼らの場合、睡眠時間7時間と生活の営みに必要な時間1.5時間の8.5時間以外の15.5時間は何もすることがありません。会社の仕事に縛られないので、1日24時間の大半が「自由な時間」です。
こうなると、今度は「何をしよう」という考えを持つようになります。
大学に通って勉強でもしようかな、本でも読もうかな、新しい趣味でも始めようかな、となるわけです。
やることがない場合は、時間をつぶすために仕事を探します。定年退職者が再就職する理由の1つは「時間を持て余しているから」といわれています。
やはり、時間があれば「何かやろう」という気になるのです。
会社員には他人ごとのように思えるかもしれませんが、実はそうでもありません。結婚して育児休暇を取得すると、時間を持て余すことになるかもしれません。会社が倒産して無職になるかもしれません。定年後に仕事をしない場合は20~30年という長い時間を持て余すことになります。
誰にでも当てはまる事柄のようです。
ところが、いきなり環境が変わると適応するまでに時間がかかります。
また、急激な変化により精神的なストレスを受けます。
従って、少しずつ「時間」をコントロールする工夫をすることです。
サラリーマンの勉強に適した環境とは
ということで、サラリーマンが勉強するには「時間」を作るしかありません。
ではどうすればよいのでしょうか?
少し話が脱線しますが、結論の前に職業と時間の関係を整理します。
分かりやすいようにグラフであらわすと次のようになります。
横軸を自由時間の多い少ないとし、縦軸をやることの多い少ないとしています。
サラリーマンは自由時間が少なく、やることが多い朱色の領域に属しています。
一方で、実業家や有名人はやることは多いのですが、時間の調整がきくので自由時間も多い緑色の領域に属しています。
実業家や有名人は、やることは多いのですが時間に縛られていません。彼らは時間の使い方を選べるという自由を持っています。サラリーマンとは大きな違いです。
サラリーマンが目指すべきなのは緑の領域です。
この領域にうまく入ることができれば、時間に縛られない働き方をすることでうまく自分の生活をコントロールすることができます。
例)社内で昇進して働き方をコントロールできる立場に就く
例)労働環境の良い会社に勤める
例)フリーランスになる
など方法はあります。必ずしも実業家や有名人になる必要はありません。
いきなり状況を変えることはできないので、少しずつ小さな変化を積み重ねるしかありません。
サラリーマンの自己研鑽が作るポジティブなスパイラル
うまく時間をコントロールして自己研鑽を継続することで大きな力になります。
努力や勉強を継続できる人は、仕事の効率が改善しさらに余分な時間を作り出します。
一方で、自己研鑽を継続できない人は成長できないで、いつまでたっても現状の環境から抜け出すことができません。成長できないことで、相対的に状況は悪化し、さらに時間に追われることになります。
それぞれ以下の図のような良い循環と悪い循環が継続することになります。
こういう理屈で、成功者とそうでない人の差がどんどん拡大していきます。
なかなか時間労働している人には受け入れにくい理屈かもしれませんが、「時間労働」という考え自体を捨ててしまった方が良いと思います。時間労働のサイクルから抜け出さない限りは、何かを勉強しようという考えは持てないかもしれません。
上手に勉強する時間を作る工夫
仕事の効率を上げる(残業しない努力をする)
有休を使う
休職制度を使う
退職して一定期間勉強してみる
このように、いくつか時間を作ろうと思えば作ることができます。最初は小さく始めて徐々に習慣に落としていけば、活動は加速するはずです。 最初は誰でもうまくいかないものですが、少しずつ改善しながら継続することで大きな成果として返ってきます。
まとめ
最後にまとめると、サラリーマンが勉強しない大きな要因は「時間がないから(あるいは時間を作れていない)」です。
時間を持てるようになれば。考え方も少し変わります(ただ気付いていないだけです)。
うまく時間を作りだしてコントロールすることができれば、新しいことに取り組む可能性は高まるはずです。
そして、時間をうまく投資することで、さらに自由な時間を増やすことができるようになります。
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