230114 自己投資としての副業

日本は終身雇用体質ですが、既に賃金も20年前からほとんど上昇しておらず、社会保障費負担増によって賃金は実質的に減っています。一応65歳までは努力義務ということで雇用が保障されていることになっていますが、年を重ねると長年勤めた社内であっても徐々に居心地が悪くなるでしょう。周りを見ると言わんとすることは分かるはずです。気に入らない上司からの指示を受けて、やりたくない仕事もやらなくてはなりません(どんな職業でも一時的にそういう状況受け入れないといけない状況はあります)。ただ、その状況が中長期的に続くとなると、ほとんど奴隷状態とかわりません。それでは人生を充実させることはできないでしょう。
経産省の調査結果によると、日本企業の従業員エンゲージメントは最低レベルです。こういう実態を考慮すると、「どうすれば自分の人生を充実させることができるか」を考えた時に、会社依存ではダメなのだと思います。別記事で紹介している通り、会社にすべてを求めることは出来ませんし、会社はそういう場所でもありません。自分が探している答えは自分の中にしかなくて、自分から導き出さなくてはならないのです。
こういった負のサイクルを避けるために、おすすめしたいのが副業です。

1つ目の理由が所得の分散です。ほとんどの人が会社からの給与所得に100%依存していると思いますが、資産運用の視点で考えれば大きなリスクです。会社が倒産する可能性もありますし、人脈や経験値も得られず、他の可能性をつぶしてしまうことにもなります。副収入があれば、会社への精神的な依存度は減ります。

2つ目の理由が、社外の活動により視野が広がることです。副業の内容にもよりますが、本業と少し違ったことに挑戦すれば、新しい発見があったりします。新しいことに挑戦して試行錯誤させながら、何かを成し遂げていくことで自分を成長させてくれます。本業へのポジティブなフィードバックも期待できるかもしれません。
副業なら何でもいいということではなく、アルバイトなどの時間労働系の副業ではあまり意味がありません。時間労働であれば、自分で創意工夫をするインセンティブにはなりませんし、新しい発見も少ないでしょう。なので、金銭的対価よりも経験的価値に重きを置いた副業探しをお勧めします。他人が価値を認めてくれればお金は後からついてきます。

3つ目の理由が定年後の楽しみに繋がることです。この点が一番強調したいポイントです。定年後など、まだまだ先だと思うかもしれませんが、余裕のあるうちに定年後の準備を進めておくことを勧めます。自分の過去10年の人生を振り返って、何か新しいことに挑戦して成功したことをあげてみてください。意外と同じ毎日を繰り返していると気付かされるのではないでしょうか。 「時間があったら、あれをやろう」とか、「定年後にこれをやろう」とか考えても、実際に時間を有効活用できている人は少数派です。何をやればよいのかわからないのです。
定年後にやることがなくて、再度仕事探しを始める人もいます。でも、60歳を超えると働き口は限られます。人生の終盤にかかって「なんでもいいから仕事がしたい」とは思わないはずです。
つまり、中高年になって副業という選択肢は大きなアドバンテージになるのです。会社での立場が徐々に弱くなったとしても、人生の楽しみを副業に期待することができます。定年退職した後でも、副業に時間を投入できれば、それなりに人生を充実させることができるはずです。副業には定年などありませんし、勤務時間の制約もありません。
若い頃は個人事業主や起業はリスクが高く、会社員のほうが安定していて良いと思われがちですが、定年前後になるとこの立場が逆転するのです。


ではどんな副業をすればいいのでしょうか。自分がやりたいこと、興味を持っていることから始めればいいと思います。わざわざ専門学校やビジネス講座に申し込まなくても、インターネットや書籍で質の高い情報を得られる時代になっています。 最初は難しいと感じることでも、少しずつやっていくと理解が深まり、レベルアップしていきます。山登りやマラソンと同じで、最初は「できない」と思っていたことでも、少しずつこなせるようになっていきます。

無限のお金と無限の時間があったら自分は一体何をして過ごすだろうか?

自分は一体何に喜びを感じるのか。幸福とは主観的な要素なので他人が決めることはできません。自分で考えて行動するしか、満足のいく結果を導くことはできないのです。そしてその過程は1~2年では十分ではなく、長期的に検討と行動を繰り返さないと導き出せないのです。だから少しずつ毎日小さな積み重ねをして行くしかないのです。

富を築いたスポーツ選手の引退後の生活もそれぞれです。一般庶民と違って、彼らは若くして巨万の富を得てリタイヤします。何もせずダラダラ過ごす人もいれば、仕事を継続する人もいます。金銭的な目的ではなく、人生を充実させる要素が必要なんだと思います。

我々サラリーマンは、その検討が定年後に行ってきます。途中で離職経験のない人は、それがどういうものか想像しがたいでしょう。でも定年になってから検討を始めたのでは遅いのです。


副業には、最終的に金銭的なリターンが期待できる、ビジネスセンスが養われる、職場以外の人脈ができる、などの本人にとってのプラス要素があります。これは歳をとってから大きな強みになると考えています。成り行きの結果で老後を迎えるのと比べて、大きな違いを生むはずです。複利の効果とでも言いましょうか。会社勤めで養われなかったスキルを習得できる可能性があるからです。何も行動しなければ10年後も今の生活とほとんど変わらないでしょう。 職業にもよりますが、本業をそのまま副業にスライドできる人は少数派です。新しいことを始めるのは時間がかかるのです。


私の事例を紹介すると、趣味で始めたブログサイトや本出版があります。副業と呼べるかどうかはともかく、僅かながらの副収入を生み出してくれています。読者からメッセージをいただくこともあります。
たまたま始めた執筆作業ですが、全部で10冊以上の本を書きました。書いても出版しなかった本ありますし、出版しても全く読まれなかった本もあります。でも、繰り返したおかげで、今では本を一冊書くことは日常作業になっています。最初は時間がかかったわりに低品質のものでしたが、徐々にコツを掴んでくるのです。
最初にぼんやりと本を書こうと思ってから、実際に本を書くまで5年以上かかりました。時間が取れなかったこともありますが、書く内容がなかったことも理由の1つです。たまたま、あるタイミングでいくつかの条件が揃いました。仕事も一段落して、書きたい内容もあって、簡単に電子書籍を出版できるサービスもあって、それでやっと一冊目の本が形になりました。
ブログについても同じで、最初に自分のホームページを作ろうと思ってから、実際に行動に移すまで10年ほどかかっています。全く同じ理由で、時間の制約やプログラミングスキルの制約など、自分に言い訳をしていたのです。最初にホームページを作ろうと思った時はブログなどを書くつもりはなく、プログラミングの勉強のつもりで簡単なホームページを作ることが目的でした。ホームページができるようになると、何かを発信しようと思って自分の過去の経験で他人に役に立ちそうなことを記載し始めたのです。そんなきっかけで内容がどんどん追加され、今のホームページになってます。


私は飽きっぽい性格なので、これらの副業に対する情熱がいつまで続くかわかりません。一生続くなどとは考えていませんが、選択肢として持っておけばいつでも引き出せます。なかなか芽が出るまでは時間がかかりますが、時間をかけて活動していけば、小さな副業たちの集団ができて、人生の選択肢を増やしてくれると期待しています。

SNSやゲームなどの娯楽で時間を過ごすのも良いですが、副業を楽しめるようになると、副業が最高の娯楽になります。そして、その副業は人生の終盤に役に立つのです。



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