200706 スキルの習得がもたらす複利効果

今回は「スキルの習得がもたらす複利効果」というテーマで話をします。時代が読みにくい現代では計画的なキャリア形成は簡単ではありません。そこで、今回は個人の事例をもとにスキルアップのヒントになる考えを紹介します。

【目次】

  1. 一般的なサラリーマンの事例
  2. スキルが複利で役立つ事例の紹介
    • 電気配線図の理解、PLCの理解 -- > 設備の問題対応スキル
    • 英語、製造業のグローバル化 -- > 海外での仕事機会
    • 技術力、信頼 -- > 海外駐在
    • 海外駐在 -- > 第2外国語、マネージメント
  3. 突出したスキルがもたらす機会と複利効果

一般的なサラリーマンの事例

他記事でも何度も紹介していますが、日本人サラリーマンは学ばない人が大半です。時間的な理由、意欲的な理由などそれぞれ理由はあるのだろうと思いますが、自己研鑽しないようです。

短期的には全く困らないのかもしれませんが、突然の状況の変化に対応できなくなる可能性もあります。会社の倒産やリストラです。手遅れの状態になってから対応策を考えても、選択肢も少なくうまくいきません。どんな状況でもある程度対応できる準備は必要だと考えています。

人生は長い

脅迫して勉強させるようなことは好きではないので、学習するかどうかはあくまで個人の自由です。私個人の話をすると、新しいことに挑戦して新しい世界を見たいという思いで挑戦を継続しています。

人生は長く、時間の変化とともに考えは変わるかもしれません。今までやってきたことを退屈に感じるようになるかもしれません。大切なのは、目先の視点ではなく長期の視点で考え行動すべきと考えています。 人生全体で考えれば、どこかで学習するタイミングは誰にでも訪れるように思えます。その時に外部から強制されて学習するのか、自発的に学習しておくのかだけだと思います。

最初は全く関係のないと思える事柄でも、後になって役に立つことはあります。点と点がつながって線になるように、意図していなかったことが自分の生活に役立つようになるのです。学習とはそんなものだと思います。


スキルが複利で役立つ事例の紹介

個人の事例でこれまで役に立ったことを紹介します。最初は意図していたわけではないのですが、コロンブスの卵のように後になって気付く事柄です。結果論になるかもしれませんが、最初のきっかけは小さな学習でした。

電気配線図の理解、PLCの理解 -- > 設備の問題対応スキル

1つ目は配線図とPLCの学習です。

私は製造業の会社に就職して最初の2~3年目のときに配線図やPLCが分からず頭を悩ましていました。まわりにはできない人は大勢いたのですが、私は諦めずに学びました。最初は理屈が分からずストレスになりましたが、そういった取り組みを継続していると、突然すべての謎が解けたように理屈を理解するようになるのです。

それ以降、設備の動作異常などが発生した時は原因を突き止める作業で大変役に立ちました。 一方で周りには何年もエンジニアをしていても、内容を全く理解できていない人は大勢いました。最初に苦労したおかげでその後のエンジニアとしての社会人生活は大変楽になりました。

英語、製造業のグローバル化 -- > 海外での仕事機会

2つ目は英語の勉強です。

英語は学生時代に勉強したものですが、当時は海外に興味があっていつかは海外で仕事がしたいと考えていました。幸いにも就職してからは海外出張の機会がありました。

ところが、海外出張が激務だったこと、英語圏ではなかったこともあり、全く英語を利用する機会はなく海外に興味を持てなくなりました。当時の会社では「海外に行く」=「激務を経験する」という法則だったのです。

それでも、徐々に激務をこなすことで仕事に慣れたこと、英語圏での仕事も少しずつ増えたことで、英語を利用して仕事をする機会も増えました。すると私の英語スキルが活きてくるのです。 技術力もあって語学もできる人材という扱いを受けると、任される仕事も増えていきます

英語を勉強して6~8年ほど経過した頃でした。埋没資産が利用できたと表現するのがよいかと思います。英語を勉強しているときはすぐにでも活用したいと考えていましたが、出番が来たのは何年も経過した後でした。いつ役に立つかわからないものです。

技術力、信頼 -- > 海外駐在

3つ目は海外駐在の話です。

仕事の成果を積み重ねると、大きな仕事を任されるようになります。 たまたま会社の事業が拡大していたという背景もあり、海外駐在の話が来ました。海外駐在といっても、華やかな海外生活ではなく、先述した海外出張の延長という激務です。

期待された人物にしか駐在の話は来ませんので、これはこれで大きな評価として捉えるべきです。とはいえ、何度も出張している場所の過酷な業務状況を容易に想像できるので、駐在するかどうかは悩みました。それでも、せっかくの機会と考えて駐在することにしました。

海外駐在 -- > 第2外国語、マネージメント

4つ目も海外駐在の話です。
海外駐在すると、責任が増えて対応する仕事範囲が広がります。やっている仕事は地味ですが、多方面の業務をカバーしないといけません。おかげでマネージメント能力が養われます。

また英語圏以外の国に駐在すると、語学の壁も存在します。
私は、語学の壁を乗り越えたかったので、多忙な生活の中で少しずつ時間を見つけて勉強しました。英語のベースがあるので、第2外国語のハードルはそこまで高くはありませんでした。さらに、語学力がつけば現地での仕事もやりやすくなるのです。

数年駐在した後、異文化理解と語学力、マネージメント力が身に付きました。たくさんの苦労がありましたが、振り返ればいろいろ経験できてよかったと考えています。



このように、最初は何気なく始めた学習でも少しずつアメーバが広がっていくように関連性が見えてくるのです。最初は英語と電気配線・PLCの知識でした。 それらの小さな積み重ねが、技術力、海外出張、海外駐在の機会を呼び込み、マネージメントや第2外国語という新しい学習要素を引き寄せるのです

例えるならば、たくさん種をまいたおかげで、小さな芽が出てやがて大きな木に育つようなものでしょうか。最初は大きく育つなどと想像もしていなかったのですが、継続していれば役に立つ機会が訪れることもあります。何もしなければ、機会が訪れても対応することができません。 過去の学習が複利として機能するのです。


突出したスキルがもたらす機会と複利効果

この小さな芽が育つ過程で「機会」を引き寄せます。上述の話の流れからもわかるように、いきなりステップ1からステップ4に進むことはできませんが、少しずつスキルを高めていくことで大きな機会に出会うことができます。

別記事でも記載している通り、常に準備できた状態にしておけば「機会」をつかむことができるのです。これも学習の複利効果だと考えています。もちろん、環境も大切です。いくつかの要素が重なることで、予想していない複利効果で成長曲線が描かれていくのです。

将来どんなスキルが役に立つかを想像するのは簡単ではありません。勉強しても何の役にも立たなかったということもあるかもしれませんし、意外なことが役に立つこともあります。何もしなければ状況が好転することなどありません。点と点がつながるように、新しいことに挑戦すれば新しい発見があるものです。



※関連記事) 既得権を守りにいくか、新しいことに挑戦するか
※関連記事)会社という環境では専門性を磨けない場合もある
※関連記事)人が成長するためには120%の力を発揮する状況が必要

コメント・質問を投稿