201020 日本人の残業体質を改善するための提案
今回は「日本人の残業体質を改善するための提案」というテーマで話をしたいと思います。いまさら説明するまでもありませんが、日本のサラリーマンの生産性は先進国の中で最低レベルです。
【目次】
- 残業文化は日本特有
- GDP世界3位という錯覚
- 日本で無駄な残業をなくす提案
- ホワイト企業の成功事例の紹介
- 日本マイクロソフトの事例紹介
- まとめ
残業文化は日本特有
付き合い残業、残業代稼ぎ、帰りにくい雰囲気、など日本の悪しき習慣はどこの会社にでも存在します。これは1つには終身雇用や総合職採用といった日本の採用方式が影響しています。長い付き合いを想定した家族に似た連帯感を重視する変な意識が存在するようです。
社員旅行に参加したくないと思う人は大勢いても、毎年のように継続している会社もあります。仕事をする上で信頼は必要ですが、変な連帯感というのはなくてもよい気がします。早く帰りたいと思っていても、心理的な負い目を感じるようです。
他記事でも記載している通り、海外では残業しません。仕事よりも生活を重視している傾向で、仕事はあくまで生活の一部という考え方をしています。エリートたちは仕事に熱中していますが、そんな人たちは時間に見合ったアウトプットを出しています。日本のような無駄な残業はしていません。
GDP世界3位という錯覚
GDP世界3位の経済大国ですが、GDPは単価×件数の総額です。日本のGDPが高いのは、件数(人口)による要因が大きく作用しているからです。1人当たりのGDPで比較すると日本は先進国の中では下位にいます。日本は生産性が低いといわれるとおりです。
ということでマクロな視点で見ても日本人の残業は無駄以外の何物でないのです。「仕事が終わらない」という意見も出るかもしれません。一部の人にとっては事実なのかもしれませんが、大半の人は「やる必要のない仕事」に時間を費やしているのです。
日本で無駄な残業をなくす提案
そこで私が考える日本人の残業をなくすための提案です。
それは強制帰宅です。例えば現在10時間勤務していたところを、8時間に強制します。定時になると問答無用で帰宅させるのです。仕事が終わっていても、終わっていなくても残業は禁止。
仕事が終わっていないのであれば、一日の時間をうまくマネージメントできなかった本人の責任ということです。どうしてもその日のうちに終わらせないといけない仕事以外は、明日へ持ち越しということです。このやり方をすれば、時間の使い方・考え方を見直すはずです。
実はこの提案には、狙いがあります。
今の勤務時間8時間に慣れた後は、7時間勤務に時間を制限するのです。これまで8時間かけてやっていた仕事を7時間でこなすような枠組みに強制的に変更するのです。最初はとまどうかもしれませんが、約12%の時間が強制的に短縮されます。
こうすれば、徐々に時間当たりの仕事は凝縮され生産性は向上します。会社側にも生産性向上というメリットがあるし、従業員にとっても自由な時間が増えるというメリットがあります。会社側としては、さらに時間短縮できる仕組みを探すというインセンティブが働きます。
ただし、このシステムにもデメリットはあります。無能な人・やる気のない人はこの仕組みに順応できないということです。そういった人はこの制度からは排除されることになります。ただ、そういう人はいくら時間があっても結果は同じなので、勤務時間の問題にはならないのですが。
ホワイト企業の成功事例の紹介
ある取引先で有給取得率が100%に近い会社がありました。
当時、ブラック企業に勤めていた私からすればうらやましい限りでした。その会社の仕組みを聞くと、強制取得とのことでした。社内には強い労働組合が存在していて、所属部署の従業員の有給消化が未達の場合は、中間管理職が厳しい指導を受けるとのことでした。
その仕組みが良いか悪いかの議論はともかく、結果だけを見れば有給消化率は全員達成できています。長年その仕組みで運用してきているということは、従業員が有給を全取得しても会社としては機能しているということです。
日本マイクロソフトの事例紹介
もう1つ事例を紹介します。
日本マイクロソフトは週4日勤務制を導入しています。これまで5日の勤務時間を強制的に20%カットしています。報道では、「従業員の時間に対する意識が高まり、仕事の生産性が向上したおかげで業務に支障が出ずに勤務時間を削減できた」ということになっています。
報道向けに装飾している部分もあると思うので、100%この報道を信じるわけではないですが、考え方には同意しています。小さな生産性改善を積み上げれば、その状態が普通になります。勤務時間にその分余裕ができ、余裕をもって仕事を終えるようになるのです。
まとめ
このように強制執行というやり方は変革を起こすための1つのアプローチです。
毎日のように同じやり方をしているのであれば、何かを強引に変えなければ何も変わりません。
上述した方法は会社単位での改革ですが、時間を強制的に削減しようと思えば個人の意識次第で実現可能です。毎日夕方5時まで想定していた勤務時間を切り上げればよいのです。
4時までを期限として毎日を過ごし、4時以降は作業を問答無用で中断し、何かを学ぶ時間にあてたり、仕事をしているふりをしたり、翌日の予定を立てたりして、仕事以外のことに費やすようにすればよいのです。
この考え方を実践できれば、仕事の期限ぎりぎりになって困るようなことはなくなるでしょう。本来の日程よりも前倒した期限を自分に設定していることになるのだから、何かうまくいかないことがあっても十分余裕を持って対応できるようになります。
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