200627 イノベーションのジレンマから学ぶサラリーマンのリスク

今回は「イノベーションのジレンマから学ぶサラリーマンのリスク」というテーマで話をします。

イノベーションのジレンマ 
簡単に紹介すると、大企業が既存顧客に目を向けてしまい潜在的な需要に気付けず、新興の企業に負けるというものです。拡大した組織が衰退するしくみを詳しく記載しています。

歴史ある日本企業でも経営状態が苦しい会社はたくさんあります。この本を読んで、私はサラリーマンにも当てはまる話だなと感じています。正社員というだけで既得権化している立場のリスクについて考えてみます。


【目次】

  1. 成長しないサラリーマンのリスク
  2. 外部環境のリスク
  3. サラリーマンがとるべき対策
    • 所得のポートフォリオを見直す
    • スキルを磨く
    • 世間の動きを把握する
    • 選択肢を増やす

成長しないサラリーマンのリスク

他記事でも何度も記載していることですが、日本のサラリーマンの勤勉意欲はかなり低めです。 これは本人だけが悪いわけではなく、法律を含めた日本の社会構造が影響しています。

  • 終身雇用、社内で同じことの繰り返し、IT導入遅れ
  • 雇用規制、派遣労働、高齢者優遇
  • 雇用保護のためイノベーションを阻害、利権団体

ところが、人生100年時代といわれる現代では勉強しなければ貧しい未来が待っています。 同じことを同じように繰り返す場合は、若者に仕事を奪われていきます。単純に考えて、同じ仕事しかできないのであれば、給料の高い中年社員を雇うよりも若くて元気な人材を雇って、若手の成長に期待する方が合理的です。

「自分には専門性と実績がある」と考える人もいるかもしれません。その専門性を磨くために5~10年費やしたのかもしれません。一時的にはその専門性を有効活用するのも良いかもしれませんが、何十年も同じ専門分野で生活していけると考えない方が賢明です。

後輩が同じような専門性、あるいはそれ以上の能力を身に付ける可能性もあるからです。競合が現れないことを期待する、あるいは競合の芽をつぶすのではなく、自分が成長しなくてはならないのです。

専門職の場合も例外ではありません。弁護士や歯科医などは大勢います。地方でも近所に歯医者は複数存在するはずです。毎年若者が新社会人として世間に排出されます。一方で人口減少により顧客は減っていきます。まさにレッドオーシャンです。


以前は終身雇用という考えで上司の指示に従っていればよかったのですが、時代は明らかに変わっています。自分が成長する努力をやめると、いずれ世間の需要にこたえられなくなります。昨年の大企業のリストラ報道でも明らかです。


外部環境のリスク

2つ目が外部環境です。
言うまでもなく変化のスピードが極めて速くなっています。日本は島国で物理的に諸外国から隔離されています。そのせいで、自分から情報を取りにいかなければ外の世界の情報は入ってきません。同じような毎日が続くため、日常生活では変化を感じられないかもしれません。

ところが外の世界では大きな変化が起きています。日本の大企業が苦戦している通りです。変化に適応できなければ、マーケットからはじき出されてしまいます。(これがイノベーションのジレンマの考えです。)

そして、これは我々の雇用にも当てはまる考え方だと私は考えています。盤石に思える会社組織でも簡単に傾いてしまうのです。その変化に個人レベルでさらされた場合を考えてみてください。勤務先が倒産したり、解雇された場合には、他人事ではなくなります。

幸いにも、日本では従業員を守る法律がセーフティネットとして機能しています。正社員として雇用される限りは一定の権利が認められています。 ただ、これはいつどうなるかわかりません。日本の行政は亀のように遅く、経済対策も機能しているとは思えません(行政の支援が少なく、日本の一般企業が苦労している状況をみれば明らかです)。

サラリーマンがとるべき対策

それでは、具体的にサラリーマンはどうすればよいのでしょうか。家族を養って、上司のストレスに耐えて、これ以上どうしろというのだ。そう思うかもしれません。 私が考える対策は4つあります。

1.所得のポートフォリオを見直す

1つ目が所得の見直しです。ほとんどのサラリーマンが所得の100%を勤務先からの給料に依存しているはずです。投資の世界で考えれば、これはかなりのハイリスクです。

お金を稼ぐということは簡単ではないですが、勤務先への所得依存度を少しずつでも減らしていかなくてはなりません。資産運用や資産性のある副業をするなどして、お金の流れを作るのです。 勤務先への依存度が下がれば、精神的に余裕ができるだけでなく、仕事面においても大胆になることができます。

2.スキルを磨く

2つ目がスキルを磨くことです。 すでに習得した専門性のほかに新しい分野に挑戦して自分の価値を高めます。最初は何の役に立つかわからないように思えるスキルでも、思わぬ場面で役に立つこともあります。

あまり深刻に考えて選ぶ必要はなく、ダメ元くらいのつもりで長期的に複数の事柄に挑戦してることを勧めます。時代の変化が早く、長期的な見通しができないため、もしかしたら全く役に立たないスキルになるかもしれません。 うまくいくかどうかはわかりませんが、やっていてポジティブな発見があることも事実です。何もしないよりは、少しでも種をまいておく方が後々困らないでしょう。

3.世間の動きを把握する

3つ目が世の中の動きを把握することです。
これはテレビや新聞では不十分です。国内のメディアは日本向けに作成されているため、海外の情報は少なく、日本の現状を諸外国と比較することができません。

できるだけ世界全体を俯瞰する視点を持ってください。今ではインターネットのおかげで情報はいくらでも入手できます。オンライン書籍ならどこにいても低価格で入手できます。

たまには海外を訪れてみてください。日常生活を抜け出して外の世界に触れる経験をしないと、なかなか変化を体感できないからです。

4.選択肢を増やす

4つ目が選択肢です。
1,2の内容を実践できると選択肢が増えます。何かがダメになっても別のことに切り替えることができます。例えば、勤務先が倒産しても別の収入源があれば、そこまで深刻な問題ではありませんし、市場が認めるスキルを持っていれば、いつでも転職できます。会社でやりたくない仕事があれば、会社を辞めることもできます。



理屈は簡単です。実践するのは簡単ではないかもしれませんが、少しずつ活動を積み重ねていけば、実現する可能性は高まっていきます。どうせ何十年も同じ会社で働くつもりなら、長い目で考えればよいと思います。 個人的には、このように考えているのですが、世間を見ると日本の大半のサラリーマンが何の活動もできてないようです。。。。



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