211014 成長できない人に不足しているもの

今回は「成長できない人に不足しているもの」というテーマで話をします。サラリーマンが勉強しない理由、成長できない理由を考えてみます。

本サイトでは、日本の会社員の大半が勉強しないことを何度も取り上げてきましたが、成長できない人と成長できる人の違いを少し別の視点で考えてみます。仕事を始めて最初の数年は、成長曲線を描きます。その後、徐々に成長が止まって、 できることしかやらない人たちが増えていきます。 いろいろ要因はありますが、今回は本人のモチベーションと成長の必要性という観点で話を勧めます。

「できること」と「やりたいこと」の不一致

会社の業務効率を考えると、「無駄をなくし、ルーティン作業を繰り返すやり方」が生産性は高くなります。したがって、複雑な業務もできるだけ単純化し、誰でもできる状態にしておきたいというのが会社側の意図になります。

この仕組みが揃っていない時でも、同じ人が同じ作業を繰り返すことで、 組織として機能します。1年や2年単位の短期的な活動であればこれでも良いのですが、5~10年と同じことの繰り返しは本人にとっても損です。本人の成長環境を奪うだけでなく、モチベーションを維持することも困難でしょう。この状況に置かれた人は、何か新しいことにチャレンジするかその環境を抜け出したいと感じるはずです。

ここで次の図を見てください。 「できること」と「やりたいこと」を二つの軸で表現した図になります。


多くの会社員は、「できるけど、やりたくない」という領域(Aの部分)にいます。 本人が目指すべきは「やりたくて、できること」の領域(Bの部分)ですね。この領域、つまり仕事内容と本人の希望・能力が一致する場合は非常にまれです。 この領域にたどり着くには、「やりたいこと」を「できる」状態に少しずつ持って行かなくてはなりません。図中の赤矢印の経路を少しずつ進むイメージです。
この「やりたいこと」ができる環境が社内にあれば、最初はできなくても時間の経過とともに「やりたいこと」に挑戦できる可能性はあります。一方で、「やりたいこと」が社内にない場合は、環境を変えなくてはいけません。

すると普通の人は転職を考え、未経験でもできる職場を探します。 ところが、ここにジレンマが出てきます。本人が「できる」けど「やりたくないこと」が当てはまる職業に対しては採用される可能性が高く、「やりたい」けど「できないこと」に当てはまる職業に対しては、採用される確率が非常に狭くなります。(Aの領域)での市場価値は高いが、(Cの領域)では市場価値が低くなるという、避けられない事実です。
結果的に「自分にはできない」と判断し、何も挑戦しなくなるのではないでしょうか?

この「やりたいこと」をやるためには、自分の実力を少しずつ上げて「できる」状態に近づける必要があります。 少なくとも他人に認められてもらうレベルにならなければなりません。スタート地点に立てる実力を身につければ、あとは自分の希望と仕事を通して成長していきます。結果的に「やりたいこと」を「できる」領域に入ることができます。


「会社に求められていること」と「やりたいこと」の不一致

次にもう一つ図で表したいと思います。 「会社に求められていること」と「やりたいこと」を二つの軸で表現した図になります。


今の自分の環境に疑問を持っている人は、図のZの領域にいる人たちだと思います。
自分がやりたいけど、会社に求められていないことをするには、やはり環境を変えるしかありません。 会社の業務効率を考えると、「無駄をなくしてルーティン作業を繰り返す」です。したがって、日常的な業務はルーティンの連続です。とはいえ、同じことばかりを繰り返していたのでは将来は明るくありません。どこの会社でも中長期的に取り組んでいる活動も存在します。

個人レベルでも同じ視点が必要で、将来的に能力を身に付けて、こなせる仕事範囲を広げる必要があります。そこで、「じゃあ何をしようか」となるわけですが、自分の仕事で役に立ちそうな内容(会社から求められること)で、興味を持てるものがあれば最適です。図中のYの領域です。
例えば、営業部の社員がマーケティングスキルを身に付ける、中堅社員がマネージメントについて学ぶ、部長職社員がMBAを学ぶ、などです。

「あいつは〇〇に詳しい」と認知されると、社内でもそういった仕事が回ってくる確率が増えます。周りより突出した能力が仕事を引き寄せるのです。この認知が少しずつ大きくなっていくと、仕事内容が徐々にシフトしていき、気が付いた時には専任者になっていたという場合もあります。 ただし、会社の仕事と関連性があって、仕事上で役に立ちそうな事柄に限ります。まったく関連性のない能力を磨いても社内で有効活用する見込みはありません。つまり、「会社から求められていること」です。


現状に満足しないで向上心を持っている人は、上述したことを無意識に実践できている気がします。そうでない人は、そもそも問題に気付きません。同じような毎日が5年、10年続いても何も疑問を持たないのです。同じような毎日が定年まで保証されているのであれば、それでも良いのですが残念ながら現在はそういう状況ではありません。
有能な人は自分の能力開発に取り組みます。無能な人は会社にしがみつくための方法を考えます(とはいっても有効な手段はあまり存在しないのですが)。皮肉な話ですが、愚直に実力をつけるという苦労が、将来の自分を楽をするための「王道」なのです。



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