211231 若者の早期退職への危惧とキャリア形成のヒント

今回は若者向けに職場選びとキャリア形成に関する考え方のヒントを紹介します。

キャリア形成の記事キャリアの複利効果の記事でいくつか紹介していますが、ここでは別の視点でヒントとなる考え方を紹介したいと思います。

そもそもの背景は若い人で簡単に仕事を辞めてしまうことに対する危惧です。現在の日本の社会システムでは若い人に対して不利になっています。それは例えば、解雇規制のせいで年配者が大勢会社にいること、そのせいで若者に対して雇用の機会が開かれていないこと、などです。
ただ一方で若い人が少なくなっていることで、「若い」ということが大きな特権になっていることも事実です。会社によっては若い人を雇いたいけど、そもそも応募が来ないという状況もあります。

実現難易度の高いキャリアを選択する

本題に戻って1つ目のポイントです。
それは実現難易度の高いものを選んだ方がいいということです。別記事でも紹介している通り、難易度が高いと競合が少なくなり、その仕事自体の価値が上がります。短期的に実力を付けることができないので、長期で取り組むという「楽しさ」が生まれます。努力をしないといけないし、ストレスにもなります。
それでも、山登りと同じで登っていくと徐々に見える景色が変わってきます。麓から見上げた時は「とても登れない」と思っていた山でも、少しずつ努力をすれば自分でも信じられない高さまで登っていることもあります。職業も努力と環境次第で同じです。

最初は自分の実力不足に絶望して、「こんなことは自分にはできない」と思うかもしれません。困難に打ちひしがれて、現時点で自分にできる仕事を探してしまいがちです。 困難な状況から抜け出すことで、一時的には幸福感を得られるかもしれません。ところが人は徐々に環境に慣れてきます。最初は幸福感を感じていても、徐々に退屈を感じるようになってきます(一方、困難な状況であっても徐々に慣れていきます)。逆説的かもしれませんが、「退屈」を克服するのは「難しさ」しかないのです。
従って、今の自分に何ができるかという視点も大切ですが、将来自分はどうなりたいのかという視点を持って難しいことに挑戦してもらいたいと思います。

最初のうちは地味な作業が続くと認識しておく

2つ目のポイントは、「最初のうちは地味な作業が続く」ということです。
就職して「期待していた仕事と違った」と感じるかもしれません。ほとんどの人はそう感じるものです。最初の数ヶ月、あるいは最初の数年間は地味な作業を継続しないといけないかもしれません。「石の上にも三年」などと言うつもりはありませんが、上司に認められて、仕事を覚えて、基礎を築くには時間がかかるのです。

山登りに例えると、最初のうちは地味な景色しか見ることができません。そもそもそれが山だと認識できないかもしれません。登り始めてある高さに到達するまでは広い景色は見えないのです。 これはどんなことにも当てはまるのではないでしょうか。最初のうちは全体観が全く分かりません。何をやっているかわからないような作業をしばらく継続していくしかないのです。

もちろん、くだらない雑用ばかりを若手社員に押し付ける会社が多いことも事実です。事業自体が衰退している会社や、所属部署の人事構造が変わらず30代になっても雑用に近い仕事しか任されない職場が多いことも事実です。そうした職場にいるのであれば、さっさと辞めてしまうのは賢明な判断に思えます。

退職を決断するのは自分の努力で状況を変えられないとき

別の事例を紹介します。私はよくサッカーを見るのですが、超一流の選手であっても同じような経験をすることはあります。スコットランドセルティックからスペインのエスパニョールというクラブに移籍した中村選手は、スペインではほとんど活躍できませんでした。 ニュルンベルクで活躍していた清武選手がスペインのセビージャというクラブに移籍した時も、同じように出場機会に恵まれませんでした。ACミランからレアルマドリードに移籍したブラジル代表のカカ選手も同じような経験をしています。
彼らは超一流の選手で、 実力不足などということはありえません。ところが環境が変わったせいでその当時の監督の方針、チーム内での役割、言葉の問題、ライバル選手の兼ね合い、そういった様々な要因が作用し、一流選手であっても実力を発揮できない可能性があります。これは本人の問題ではなく、外的要因によるものです。時間をかければチームに順応していくことも可能です。監督の考え方を理解して期待された役割を担う。現地の言葉を学ぶなどです。
ところがスポーツ選手の場合、毎年のようにメンバーが入れ替わります。もちろん監督も交代する可能性があります。 「時間をかける」という判断をしにくい業界なのです、例え時間をかけたとしても、外的要因によって大きく状況が変わる可能性だってあります。それならば、いっそのこと別の環境に自分が移動したほうが、状況を素早く改善できるということなのです。


話を戻して一般人の事例を考えていきます。一般人の場合は超一流でも何でもありません。ある程度我慢して状況に合わせて自分の行動と考えを変えていく必要があります。しばらく耐えなければならない時間は存在しますが、戦略的に状況を改善する努力をすることで、いずれ自分の期待する結果が現れます。
いま自分にできないことであっても、自分が大きな苦痛を感じていることであっても、状況を改善する努力をすれば、状況は改善していく可能性があります。どうしてもその状況を改善できないと思えば、その環境から抜け出せばよいのです。



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