220730 転職についてのアドバイス
過去の転職経験や世間の人間観察をしていると、現状に不満を持っている人、転職で失敗した人が大半で、転職して成功した人は少数派の印象です。私自身の経験や周囲の転職者の実例をもとに、転職を考えている人に対して参考になるアドバイスをしたいと思います。
まず私の立場を説明すると、私は転職には反対ではありません。むしろ、一度くらい転職した方が、人生経験においては役に立つと考えています。それでも、転職とは大きな転機で、人の人生に大きく影響する要素が強いので注意点を紹介します。
解決策は転職だけではないこと
転職を考える人は、現在の職場に対して何らかの不満を持っていることでしょう。その解決策として転職を選んでいるのだと思いますが、転職は必ずしも唯一の選択肢ではありません。社内の異動、副業、起業、セミリタイヤ、、、不満を解決する方法は他にもあるはずです。そもそも、現在の不満に対して正しく理解する必要があります。その分析作業を行わないと、転職してその課題が解決されるかどうかわからないからです。場合によっては、転職によって新しい課題が出てくるかもしれません。
私たちは職場に全てを求めることはできません。給料がよくて、やりがいがあって、労働環境がよくて、同僚が優秀で、会社の立地がよくて、、、、そんな職場で働ける確率はほとんどゼロに近いでしょう。自分が優先したいことは何なのか、それを解決できるのは本当に転職だけなのか。転職して後悔しないためにも、自分自身を正しく分析する必要があるのです。
他人が紹介してくる案件は疑いの目で見ること
労働市場には様々な求人が出回っています。転職サイトに登録するとたくさんの求人案内が届きます。中には魅力的に思える求人もあります。
しかし、ここでよく考えてみてください。なぜその案件が紹介されたのか。自由市場においては、取引は需要と供給の関係に支配されます。一度採用すると簡単に解雇できない日本の雇用慣行を考慮しても、人気求人であればすぐにその枠は埋まってしまいます。採用がなかなか進まず、わざわざエージェントが紹介してくるような求人には、募集背景には何か理由があるのです。(そもそも人気企業であればエージェントを通して求人しなくても、応募者の方から勝手に集まってきてくれます)
また、会社側としても何の接点もない他人を雇うことはリスクを伴います。重要なポジションの場合、社内の人事異動やグループ会社からの出向を選択肢として持っています。社員の紹介や取引先の紹介者から埋まっていくこともあります。こういった背景を理解しておくと、市場に出回っている求人がどういう性質のものか理解できるはずです。
自分でコントロールできること、できないことを知る
転職はリスクであるとよく言われますが、私も同じ意見を持っています。
入社するまで社内の仕事や同僚について何も知る手段がないからです。仕事のやり方一つにしても、社内のやり方に合わせなければなりません。自分に与えられた仕事自体は自分のやりたいようにことができますが、社内調整の必要な仕事に関しては自分でコントロールできる要素は限られています。
職場の雰囲気や同僚は大きな要因になります。会社の事業状況や組織体制も同様です。これらは個人では全くコントロールできない要素です。前の職場では当たり前と思っていたことが、新しい職場では当たり前ではないのです。(そのせいで、しばらくは無力感を味わうことになります)
これは転職に限ったことではありません。人生とは課題の連続で、新しいことに挑戦するときは必ず直面する課題です。そういうものとしてポジティブにとらえて自分を環境に合わせていくしかないのです。
1つのことに依存しすぎない
転職はおみくじのようなものです。会社側の期待と個人の期待のマッチングです。職場研究をしても確実に成功するとは限りません。配属される事業部、部署、その時の経済情勢、経営状況によって見え方は大きく異なります。
外部から見ると「どうしても入社したい会社」と思えても、内部に入ると「一刻でも早く逃げ出したい監獄」と思えるという話もよく耳にします。期待したことが叶いそうにない現実を目の当たりにすると、なかなかその状況を受け入れられないでしょう。
こういった失敗を回避するためには、人生とはトライ&エラーの繰り返しだということを理解しておくことです。物事が自分の期待通りに進まないことの方が多く、状況によって行動を微調整しないといけないのです。一つのことに大きな期待と依存を持ってしまうと、それがうまくいかなかった場合のダメージは大きなものになります。そうならないためにも、精神的な依存度の一極集中を避け、「一定確率で失敗もありえる」くらいの考えを持っておくべきでしょう。
どんな状況になっても人生は続いていきます。たとえ絶望するような時間を短期的に過ごしたとしても、人生は悪いものではありません。苦労の後には良いことが訪れます。長期的には楽観的に人生をとらえると日常に対して少し余裕を持てるようになります。
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