200724 セミリタイヤ後の人生を考える

今回は「セミリタイヤ後の人生を考える」というテーマで話をします。コロナ不況で職を失った人、休職して学業に励む人、これから小規模ビジネスを始める人など生き方は様々です。海外ではFIRE(Financial Independence, Retire Early)などと表現されて経済的な独立を得て早期にリタイヤしてのんびり暮らす人が増えています。今回はリタイヤ後の生活について考えてみます。

【目次】

  1. リタイヤ生活はどんなものか
    1. 時間の自由度が増える
    2. 場所の制約がなくなる
    3. 人付き合いがなくなる
    4. やることがなくなる
  2. リタイヤ後の一般事例を考える
  3. 日本社会全体で考える
  4. 海外の事例を踏まえ少し別の視点で考える

リタイヤ生活はどんなものか

リタイヤ生活はどんなものなのでしょうか?
退職や転職経験のない人には想像しにくいかもしれませんが、誰にでもいつか訪れる出来事です
身近な人間観察と過去の経験をもとに考えてみます。

1.時間の自由度が増える

毎日朝から晩まで仕事をしていた生活から解放され時間的な制約がなくなります。毎日の通勤ラッシュなど気にすることなく、自分の好きな時間に行動できるようになります。何時まで寝ていても良いし、食事の時間も自分で決めることができます。一方、制約がないことで生活習慣が乱れる可能性もあります。

2.場所の制約がなくなる

これも大きなメリットの1つです。マイホームを構えている人はともかく、賃貸生活をしている人は場所の制約がなくなります。ほとんどの場合、勤務地が理由で現在の場所に住んでいるはずです。
勤務地の制約がなくなり、日本全国どこにでも引っ越すことができるようになります。 都会暮らしをしていた場合は、地方でのんびり暮らすことも可能です。その逆もしかりです。
ビザの要件さえクリアすれば海外に移住することも可能です。

3.人付き合いがなくなる

これはメリットにもデメリットにもなります。会社勤めの人間関係で消耗している人にとっては、大きなメリットになります。孤独が苦手な人や家庭以外に社会的つながりが欲しい人にはデメリットになります。
職場以外で社会とつながりを持てばよいのですが、職場以外のつながりを持っていない人が多数派のようです。(特に男性)

4.やることがなくなる

これもメリットにもデメリットにもなります。
やりたいことを持っている人には自由な時間を利用して没頭することができます。ところが、特にやりたいことがない人にとってはストレスになるようです。

1つはバランスの問題だと考えています。これまで自由がなかった人が、無限の自由を手にすると何をしていいのかわからなくなってしまうのです。いきなり100から0になるのではなく、一度50を経由してゼロになれば、もう少し適応できるのだろうと考えています。 つまり、勤務時間を8時間から4時間に減らし、4時間勤務に慣れたあとに完全自由になるということです。
ところが、ほとんどの場合はそうなっていません。いきなり8時間勤務がなくなります。この状態でこの先何十年を過ごすと考えると、絶望してしまうようです。

計画的に人生設計しないと上記のようになる気がします。

リタイヤ後の一般事例を考える

少し一般事例を考えてみます。 リタイヤ生活を疑似的に体験している人は、ニート、引きこもり、FIRE実践者、離職者です。定年退職者も含めてみます。私のまわりには参考事例が少ないのですが、周りの状況を見ながら事例を紹介してみます。

リタイヤ生活者のほとんどは時間を持て余しています。買い物、テレビ、ダラダラ過ごす、このあたりが生活の大半を占めています。ごく少数の人が「学ぶ」という行動をしています。

その人たちの周辺の状況をみても、「仕事をしていない」=「悪いこと」 と考える人が多い印象です。本人次第なので、他人がどうこう口をはさむべきではないと思いますが、社会の風潮はこの通りです。
私個人の考えは、何もやることがないのなら仕事をした方がいいと考えています。これは、健康上の理由です。何もしない生活を継続すると肉体的にも精神的にも退化していきます。他にやりたいことがないのであれば、少なくとも簡単な作業程度の仕事をしていた方がよいと考えています。

日本社会全体で考える

仕事をしないセミリタイヤ生活は悪いのでしょうか?
他人が働いて社会に貢献しているのに対し、あいつは何も社会に貢献していない。ただ、貢献していないだけならともかく、高齢者になると年金や医療費を日本政府(国民)が補助していることから、国民の税金を消費して生活していることになります。過去の日本政府が認めた仕組みなので、いまさら否定されるべきではないはずですが、現実問題として世論はそう考えています。

あくまで個人の考えですが、時代の変化の最中でまだ社会的に受け入れられていないだけのような気がします。同じような生活スタイルをする人が増えると、リタイヤ生活に対する罪悪感など持たなくなると考えています。現時点では圧倒的にセミリタイヤは少数派なので、離職者やニートは目立ってしまいます。
長い人生なので、少しぐらいレールから外れて休憩や学習をする期間を設けても良いと考えています。

参考書籍)ライフシフト

海外の事例を踏まえ少し別の視点で考える

別記事で紹介している通り、ベーシックインカムという制度が先進国の中で検討されています。スペインでは一部適応が開始されています。 この仕組みを簡単に紹介すると、必要最低限の資金を国が補助するというものです。この制度を利用すれば、賃金の面では勤労する必要がありません。(仕事をしたい人はすればよいと思います)

一方で、そのほかの社会保障制度は得られなくなります。既存の仕組みでは近い将来制度が破綻することが明らかなので、そういった社会制度(医療費、年金、失業手当など)をベーシックインカムで一元管理して、中間の管理コストを減らす狙いがあるのです。トータルで考えれば、国民一人当たりに一定額を支給する方が割安になるという考えに基づいています。

このベーシックインカム制度が日本でも一般的になれば、もっと自由な生活様式を容認する社会が来ると思います。


最後に本記事の主張を記載します。
衣食住に不自由ない我々の世代は、真剣に自分が何をやりたいのかを考える必要があるのです。仕事をして毎日を過ごしている間は何も気にすることがないかもしれません。ところが、仕事から解放されると健康的に暮らしていくためには、何かに没頭するべきなのです。



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