190918 新入社員配属はドラフト方式
今回は「新入社員配属はドラフト方式」というテーマで話をします。
日本型の採用・配属決定プロセスはかなりいい加減です。少なくとも以前私が努めていた会社の配属は運次第でした。
新卒者の方のために、新入社員が入社してから部署配属までの流れを紹介していきます。
日本と海外の新卒採用の違い
日本の大企業は総合職採用のため入社時点で部署が決まっていない場合がほとんどです。
海外の人と話をすると、日本の総合職採用は確かに独特です。海外では、たいてい大学で専攻した内容をもとに仕事に就きます。工学系を専攻していた学生はエンジニアになります。ところが日本の場合は、入社時点で配属が決まっておらず、工学系の学生がSE(情報システムエンジニア)部門に配属されたり、情報処理系の学生が購買部門に配属されたり、化学を専攻して大学院まで進学した人が広報部門に配属した例もあります。良くも悪くも一度配属が決まると、なかなか異動することはできません。
それでは、日本の会社はどのようにして新入社員の配属を決めているのかを説明します。
入社後の新入社員研修と部署配属までの流れ
まず入社してしばらくの間は、新入社員のみを集めて研修を行います。
入社前の研修が社会人の作法、会社理念、仕事の進め方等の内容であったのに対し、入社後の研修は事業内容の説明、勤務地の人事制度の説明、各部署の紹介、会社規定の説明、製造ラインでの現場研修などが行われます。約1~2ヶ月の研修期間を過ごして、自分の希望する業務内容や配属後の部内での仕事をイメージして、配属希望部署を選びます。希望部署が決定した後、各部署の部門長と新入社員でグループ面談が開催され、そのときに各部長が最終的に決定します。
各部署の配属枠と社内事情
つづいて、部門長側の視点で新入社員の配属までの流れを見てみます。
それぞれの部署ごとに仕事量のボリュームと組織体制を吟味して、来期の新入社員の募集を人事部に提出します。このときにその申請が本当に適当かどうかの審査が行われます。例えば、担当事業が収益拡大の見通しがある場合は、人材を補強して組織を拡大する必要があります。事業が縮小している部署の場合は人材を増やすという話にはなりません。また、従業員の勤怠を見て、部内メンバーの残業時間が慢性的に多いようであれば、人員追加が必要であるし、まったく残業をしていないという部署であれば、既存人員で業務調整すればよいという話になります。このようなプロセスで最終的に各部署に来期に配属される人員枠が決まります。
新入社員の希望と部門責任者の権限
新入社員側に希望部署の選択肢があるように、各部署の部門長にも希望社員の選択する権利を持っています。
もちろん、選ばれる新入社員側よりも選ぶ立場にある部長側の立場のほうが強く、部長の意向により配属が決定します。配属枠3名の部署に20名の応募があった場合は、その部署の部長が気に入った3名を選択します。また逆に、特定の社員について3部署の部長が希望を出した場合はどうなるでしょうか。その場合は各部署での『ドラフト会議』が開催されます。
このようにして新入社員の配属が決まるため、大学の専攻と職種が一致しない場合が発生します。良くも悪くも一度決まった人事は、短期的には変更されません。希望どおりの部署に配属された人にとってはありがたいことですが、そうでない人は希望する仕事に従事できないことを理由に退職する人もいます。
当時の私は現場で仕事をしたかったので、生産技術部を志望しました。あまり人気がなかったのか、私が運が良かったのか、希望通りの配属になりました。
その後、10年以上にわたり生産技術畑で働いてきました。
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