200107 いちいち細かいことを部下に指示したり、頻繁に報告させる上司は二流

今回は「いちいち細かいことを部下に指示したり、頻繁に報告させる上司は二流」テーマで話をします。世の中を見ていて、結構こういう人はいます。特に日本社会には多い傾向です。以前の自分もそんなときがありました。

大きな仕事に取り組むときの考え方

仕事に忙殺されていた時の話をします。
その当時は若手社員の教育を任されたり、海外工場での人材育成を兼務していました。 一方で大きな仕事をこなさなくてはならず、忙殺されていた自分は毎日朝から夜まで分刻みに時間を無駄にしたくないと考えていました。当時は次のようなことを意識して指示していました。

・細かく指示しないと正確に伝わらない。
 相手が誤解した状態で仕事を始めると、正しく仕事を処理することができない
・途中経過を確認していないと、後で大きな時間のロスになる
・仕事に忙殺されると無駄をできるだけなくしたい


ある時、気付きました。
自分だけが忙しく、小さい雑務の処理をすべて管理しようとすると本来やるべきことに時間を割くことができません。仕事は個人でするものではありません。ある程度他人に任せないと自分の仕事の幅はいつまでたっても広がりません。(ただし、管理しないといけない部分はしっかり管理しないといけません)

自分の上司が細かいことをいちいち口出ししてくると、その相手や報告業務をすることに膨大な手間を取られて本来やるべきことに集中できません。上司からのプレッシャーは受けて仕事をこなす必要はあるものの、自分が部下に対して同じことをしていたのでは本末転倒です。これでは組織全体のアウトプットは上がりません。上司からのマイクロマネージメントでは組織は成長しないのです。

細かい報告がよくない理由1)部下が育っていない証拠であること

いちいち細かい指示を出したり、頻繁に報告させるということは部下を信頼していない証拠です。
なぜ信頼しないのかというと、部下に実力がないと疑っているからです。つまり、結果だけを見れば部下を成長させることができていない上に、部下に実力がないことを肯定しているということです。

緊急でどうしても処理しないといけない案件や重要度の高い案件の場合は、コミュニケーションの頻度を増やすことは有益です。上手にやるポイントは、相手に細かく指示をするのではなく、相手から上手に情報を引き出すことです。一方的に指示を出したり報告をさせるのではなく、プレッシャーを使わないで「上手に」、繰り返しますが、「上手に」部下から情報を引き出すことです。

毎日の打ち合わせや電話で、あおるように質問攻めにしたり、指示を出したり、報告させたりすることではありません。

細かい報告がよくない理由2)部下に自分で考えさせる環境を奪っていること

細かく指示を出すと人は考えることをやめます。
また頻繁に報告を要求されると、報告しなかった場合の恐れや失敗を避けるために、さらに報告をするようになります。この癖がつくと、些細なことまでいちいち上司に報告するようになります。 「それくらい自分で判断するべきでは?」というようなことまで報告します。 この状態が継続すると完全な思考停止状態になります。

環境のせいで思考停止になった事例

30~50代の人生経験豊富な大人が質問・報告するべき内容でないこと
  • 例)「この英語どういう意味?」と単語1つくらいで他人に質問。
  •   (質問する前にオンラインの翻訳サービスで調べなさい。。。)
  • 例)できていない言い訳として「ルールがないからできていません」と発言。
  •   (それならルールを決めてください。。。)
  • 例)状況を一番知っているはずの人物が「それは上司が判断すること」と発言。
  •   (何十年も働いてきたので、それくらい判断できるのでは。。。)

これは本人の問題もあるかもしれませんが、環境によるものも影響しているようです。 つまり、思考停止を強いられる環境に居続けるとこういう思考回路になるリスクがあるということです。 さらに具合が悪いことに、(思考停止した)本人はそれが異常であるということを全く自覚できていません。

細かい報告がよくない理由3)短期的な自己満足を優先させていること

細かく管理することで短期的には効率的に仕事は進むかもしれません。ところが、長期的な視点で人材育成と組織力の強化を考えた時には、効果的なやり方ではないように思えます。先述した通り「部下が育たないから」です。

なぜこんなやり方を採用するのかを考えると、次の場合がほとんどです。
・目先のメリットしか考えていない
・自分の保身が目的になっている
・部下の成長やモチベーションを考えていない

会社員の管理職はどのポジションでも上司からのプレッシャーを受けます。 自分を守るために目先の仕事をこなすことしか視界に入らなくなるものです。仕事をこなすことも確かに大切です。仕事の成果で評価されることも事実です。一方で本当に優秀な上司は中長期の組織強化を考えています。それが仕事を効率よく進めるための手段になるからです。

建前上では、人材育成、コーチング、などと平気で口にしていますが、行動や結果が伴わない場合がほとんどです。後任の育成という項目が人事評価シートの中で高い割合を占めるようなことはほとんどありません。部下の育成に喜びを感じる人よりも、部下を育てて自分の立場が危うくことを恐れる人の方が圧倒的に多いということです。足の引っ張り合いです。


上司、部下との関係性について話しました。 普段の接し方を見直す機会としてもらえれば幸いです。
また、革新的な人事制度を採用している会社もありますので、興味があれば一読ください。
参考書籍)NETFLIXの最強人事戦略  


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